テーマ:自営業者、会社
町工場を経営している個人事業主が自己破産し、工場は知人が引き継ぐという案件を依頼されました。
まず考えなければならないのは、工場内の機械、器具などをいくらで引き継ぐかです。これは機械の販売業者に査定書(見積書)を依頼し、その価格を参考に売買価格を決定しました。相場とかけ離れた価格は裁判所が認めませんから、査定書(見積書)は必要不可欠です。ちなみに破産費用はこの売買代金の一部を充てる予定です。
またこの工場は貸し工場(賃借物件)ですが、保証金を差し入れており、解約すれば、保証金が返還される契約になっています。そうすると賃貸借契約は解約するしかありません。そこで5月いっぱいで解約し、6月からは工場を引き継ぐ知人が新たに賃貸借契約を結ぶことになりました。
個人事業者が廃業して、破産する場合は、現在でも破産同時廃止(同廃)事件の可能性がありますが、今回のように工場を第三者が引き継ぐような場合は、管財人選任(管財)事件になるはずです。特に今回の方は保証金の返還によりそれなりの額の預金があるので、自由財産の拡張をするためにあえて管財事件として申し立てる予定です。
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