テーマ:過払金返還請求
CFJを相手にした過払金返還請求訴訟で、第一審(簡易裁判所)に全面勝訴し、CFJが控訴した第二審(地方裁判所)でも最近、勝訴した事件があります。結果的に勝訴したからいいのですが、第二審の判決理由に納得いかない点がありました。
この事件は第1取引と第2取引の間に1年8ヶ月の空白期間があり、争点はこれを一個の契約と見るか、二個の契約と見るかでした。二個の契約とすると、第1取引の過払金返還請求権は時効消滅してしまうので、過払金の額が大幅に減少してしまいます。
この訴訟で、CFJは第2取引の金銭消費貸借契約書を証拠として提出しませんでした。仮に契約書が作成されていればCFJは当然、提出するので、事実として契約書は作成されなかったと考えられます。第一審はこの事実を重視し、基本契約はもともと一つであると認定しました。これに対し、第二審では、CFJが第2取引を開始するに当たり、借主の信用情報の照会を行っていることなどから、新たな金銭消費貸借の基本契約を締結したと認定しました。その上で最高裁判所の判例の基準に照らし、第1取引と第2取引は事実上1個の連続した金銭消費貸借取引であるとして、第1取引の過払金の第2取引の借入金債務への充当を認めました。
しかしCFJが契約書を作成しないで基本契約を締結するなどということがあるのでしょうか。もちろん契約書の作成が金銭消費貸借の成立要件だなんて言っているのではありません。私人間の借金で契約書が作成されないことはいくらでもあります。しかし相手はCFJという大手貸金業者です。基本契約を締結するのであれば、必ず契約書を作成するのではないでしょうか。またリボルビング貸付では借入限度額を変更する際に借主の信用情報の照会を行うことは普通のことであり、これが新たな金銭消費貸借の基本契約を締結したという理由になるとも思えません。
私は別個の基本契約を認めるのであれば、契約書の作成の有無は決定的な事実であると思うのですがどうでしょうか。
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