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成年後見人の具体例

1 介護していた妻が入院して

Tさん(夫)とYさん(妻)は子供がいませんでした。Tさんが数年前から認知症になり、最初は自宅でYさんが介護をしていました。しかしだんだん在宅で介護をするのがむずかしくなったため、Tさんは老人ホームに入居することになりました。Tさんの預金の出し入れやホームとの契約はすべてYさんが行いました。

ところがしばらくしてからYさんにガンが見つかり入院することになりました。そのためTさんの預金の管理などをする人がいなくなりました。そこでTさんのケアマネージャーは成年後見人を付けようとして、A司法書士に相談しました。A司法書士は自分が成年後見人になることは了解しましたが、問題は誰が後見開始の申立人になるかでした。申立人は原則としてTさんの親族しかなれないのです。この時点で妻のYさんは病気のため会話をすることも困難になっていました。Tさんには姉、弟、妹がいましたが、いずれも他県に住んでいて日常的な交流はありません。そこでA司法書士はTさんの弟のMさんに連絡し、申立人になってもらうことなりました。家庭裁判所に提出する成年後見開始申立書もA司法書士が作成しました。

こうしてA司法書士がTさんの成年後見人になりました。その1ヶ月後にYさんは亡くなりました。

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