1のYさんには多額の預金がありました。Yさんには子供がいないため、相続人はTさんとYさんの6人の兄弟でした。A司法書士はTさんの成年後見人としてYさんの兄弟全員に連絡を取りました。話し合いの中で法定相続分(Tさんが4分の3、Yさんの兄弟は各24分の1)での分割であれば全員の同意が得られそうだったので、A司法書士は家庭裁判所の了解も得た上で法定相続分による遺産分割協議をまとめました。遺産分割協議では、原則として被後見人の法定相続分を確保することとされています。その後、A司法書士は各銀行に行ってYさんの預金を解約し、相続人に分配しました。
このケースは本人(被後見人)が相続人の場合です。被後見人が死亡した場合は成年後見人が遺産分割協議をすることはできません。ただし後見人が被後見人の相続人から依頼を受けて遺産整理業務を行うことは可能です。
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