遺言は実際にどのような役割を果たすのでしょうか。不動産の相続登記を例に説明します。
不動産の所有者が死亡すると、その名義を亡くなった人(被相続人)から相続人の1人(例えば長男)に変更します。しかしそれは長男が1人ですることはできません。普通は「不動産は長男の所有とする」という内容の遺産分割協議書というものを作成します。そしてそこに相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付します。この遺産分割協議書がなければ相続登記はできません。したがって相続人が1人でも「不動産は長男の所有とする」ことに同意しなければ、長男に名義変更できないわけです。「相続でもめる」とは、このような状態をいいます。
これに対して、「不動産は長男の所有とする」という内容の遺言書があれば、遺産分割協議書は不要です。その遺言書を添付すれば相続登記はできます。したがって同意しない相続人がいても、長男が1人で相続登記をできるわけです。遺言の効用はここにあります。
Copyright© 天野司法書士事務所 All rights reserved.