1のTさんが亡くなりました。成年後見人の任務は本人(被後見人)Tさんの死亡により終了しました。その後、A司法書士がやることは財産目録を作成して裁判所に報告した後に、Tさんの財産を相続人に引き渡すことです。Tさんには子どもがいないので、相続人は姉Bさん、弟Cさん、妹Dさんの3名でした。
3名の相続人は長い間、交流がありませんでした。そこで相続人はA司法書士に対し、相続財産を換金して相続人に3分の1ずつ分配して欲しいと依頼しました。もちろんこれは成年後見人の仕事ではありません。あくまで被後見人の相続人から依頼された新たな業務です。これを遺産整理業務と呼ぶことがあります。
Tさんの財産は預金と自宅の土地、建物です。A司法書士はまず銀行を回って預金を解約し、預り金口座にまとめました。不動産はいったんDさんが相続した後、建物を解体し、土地を売却することになりました。Tさんの財産は相続税が課税されるほどの額でしたので、並行して相続税の確定申告の準備もしなければなりません。A司法書士は連携している不動産会社に土地の売却の仲介を、税理士に相続税の確定申告を依頼しました。
土地の売却後、相続税を支払い、残りを3人に分配しました。翌年の不動産の譲渡所得税の申告も税理士に依頼しました。譲渡所得がDさんに発生した結果、Dさんの住民税、社会保険料が値上がったため、その額を相続財産からDさんに支払いました。すべてが終了したのはTさんが亡くなってから1年6ヶ月後のことでした。
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