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相続・遺言

相続人の行方不明⑶ 2017年10月18日

テーマ:相続・遺言

相続人の行方不明⑵では、不在者の生死が7年間明らかでないときは普通失踪宣告、それ以外のときは不在者の財産管理人を選任するという制度分担になっていることを説明しました。

そのため例えば相続人の一人が行方不明のため遺産分割協議ができない場合、生死不明になったのが3年前であれば失踪宣告は請求できないので、まず不在者の財産管理人を選任し、遺産分割協議をすることになります。そして相続財産が3000万円で、不在者の法定相続分が3分の1であれば、原則として不在者の財産管理人が1000万円を管理することになります。不在者の相続分を放棄するというような遺産分割協議は認められない可能性が高いです。

では不在者の財産管理人は先の1000万円をいつまで管理しなければならないのでしょうか。不在者の生死が7年間明らかでないときは普通失踪宣告が請求できます。そこで不在者がさらに4年間、生死不明であれば失踪宣告が請求できることになります。失踪宣告が認められれば、不在者は死亡したものとみなされます(民法第31条)。その結果、不在者の相続が開始しますので、財産管理人は相続人に管理している財産を引き渡すことになります。このように不在者の財産管理人の制度と失踪宣告の制度を組み合わせることもできます。

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