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成年後見

成年後見人はどんな場合に必要なのか。 2020年07月09日

テーマ:成年後見

成年後見制度がわかりにくいのは、法律の建前と現実にギャップがあるからです。

法律の建前は、認知症などで判断能力がなくなった方は、契約能力がないし、また家族に代理権が認められるわけではないので、なんらかの契約をするときは成年後見人を選任する必要があるということです。
しかし例えば介護の現場では、家族の代理が当然のように認められています。なので判断能力のない方が老人ホームに入居するときは家族が契約書に証明押印し、利用料は本人の銀行口座から引落で支払われるのが通常です。「家族がいても、成年後見人がいなければうちには入居できません」と主張する老人ホームはおそらくないでしょう。そのため老人ホームに入居するためだけに成年後見人を選ぶ必要は実際にはありません。

これに対し、判断能力がない方が自宅を売却する場合には成年後見人が必要な場合が多いです。なぜなら不動産取引では、本人が契約内容を全く理解できないようなときは、さすがに売却を認めていないからです。

結局、成年後見人が必要かどうかは、何をしたいかで変わってくるのです。銀行の定期預金や生命保険を解約する場合は銀行や保険会社に成年後見人を求められることが多いでしょう。しかし普通預金から少額の引き出しをすることは、銀行の通帳と銀行印又はキャッシュカードがあればできますので、後見人は必要ありません。

以上のように、「成年後見人を選ぶべきかどうか」という問題は実はそんなに簡単ではないのです。後見人について考えている方はまずこの点を専門家に相談することをお勧めします。ちなみに当事務所でも相談を受けて、「成年後見人を選ぶ必要はありません」という結論になることも多いのです。

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