テーマ:任意整理
アペンタクル㈱(旧ワイド)の訴状と㈱日本保証(旧日栄・ロプロ、旧武富士)の督促状を持って相談にみえた方がいました。見てみると最後の返済が平成17年で、すでに5年の時効期間が満了していました。それなのに両社が請求をしてくるのは、時効は債務者が援用という行為をして初めて完成するからです。民法ではこれを「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」と表現しています(第145条)。ですから訴状が届いたのに無視していると、裁判所は援用がなかったものとして貸金業者の請求を認めてしまいます。
現在、上記の会社を含むJトラストグループは全国的に大量の貸金返還請求訴訟を提起しています。その中にはすでに時効期間が満了したものもかなり含まれているはずです。きちんと時効の援用さえすれば債務を免れることができますので、ぜひご相談下さい。
テーマ:任意整理
借金を長期間、返済していない場合は、時効が成立している可能性があります。具体的には、貸金業者や銀行の債務であれば、最後の返済から5年、公的機関(例えば住宅金融支援機構)なら10年が経過すれば時効が成立します。しかし時効完成前に中断事由があれば、時効の成立が阻止されます。何が時効の中断事由になるかは、民法147条に定められています。
(時効の中断)
第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
第1号に「請求」とあることから、債権者が電話や手紙で請求すれば、時効が中断すると勘違いする人もいます。しかしこの請求は「裁判上の請求」(第149条)及びそれに類するものです。裁判所を使わない請求をいくらしても時効は中断しません。ですから仮に内容証明郵便で支払を督促しても、それだけでは時効は中断しません。意外と、内容証明なら時効が中断すると思っている人が多いようなので書いてみました。
テーマ:任意整理
任意整理をして分割弁済をする場合、期間は何年以内でなければならないか。答えは「決まっていません」。もともと任意整理は債権者と債務者の合意によって成立するので、双方が合意すれば極端な話、10年でも20年でもいいわけです。
しかし一般的には原則3年以内、最長5年くらいを目途に考えている専門家が多いのではないでしょうか。それはそれ以上の期間が必要なくらいなら自己破産や個人再生を利用すべきと考えられるからです。当事務所も返済期間が5年以上の任意整理は経験ありません。ただ、どうしても自己破産や個人再生は選択できないというケースもありますから、そういう場合は5年以上の可能性は否定しません。
テーマ:任意整理
昨日、私が以前、時効援用通知書を出した貸金業者から、契約書の返還がありました。借主の方から依頼を受け、取引履歴を取り寄せたところ、最後の返済から5年を経過していたので、時効を援用した案件でした。
貸金業者の債権は、最後の取引(借入又は返済)から5年を経過したときは、時効によって消滅します(商法第522条)。しかし時効が成立しても返済をするのは借主の自由なので、5年を経過しても貸金業者が請求してくることがよくあります。そこで時効を確定させるために、時効の「援用」をする必要があります。当事務所では、時効援用通知書を内容証明郵便で郵送します。
注意しなければならないのは、最後の返済から5年を経過する前に、判決や支払督促を受けてしまった場合です。この場合は、判決等から10年は時効になりません(民法第174条の2)。
テーマ:任意整理
昨日のブログで、任意整理の将来利息のカットについて触れましたが、今日はもう少し理論的な説明をしたいと思います。
司法書士が任意整理を行うときは、日本司法書士会連合会の統一基準に従うのが通常です。内容的には弁護士(日弁連)の「任意整理の統一基準」と同じです。統一基準とは要するに、①当初の取引よりすべての取引経過の開示を求めること、②利息制限法の利率によって元本充当計算を行い債権額を確定すること、③支払については、原則として遅延損害金並びに将来利息を付けない、の3つの基準のことです。
この内、①、②については法律及び判例で決まっているので、現在では問題は少ないです。また③も従来は将来利息をカットする扱いがなされていました。ところが③は統一基準以外に根拠がないので、近年、分割返済の場合には将来利息を付けることを求める業者が出現しています。またネオライングループのように、一括返済しか認めない上で、返済日までの遅延損害金と将来利息を払わなければ和解しない業者もいます。
テーマ:任意整理
先日、アイフルと1年越しの任意整理が成立しました。当初のアイフルの債権届出額が108万5315円、これを利息制限法で再計算すると56万7407円の残債務になるので、昨年の9月に支払額60万円(月1万円の60回払い)という和解提案をしました。ところがアイフルは、年18%の将来利息をつけた総額108万円でないと和解できないと主張したので、交渉が決裂していました。
将来利息とは、分割弁済の和解後に元本につける利息のことで、従来、任意整理では全額カットが認められてきました。ところが法律の根拠があるわけではないので、最近は将来利息をつけないと和解しない業者も出てきています。しかし当事務所は今まで将来利息を認めたことはないので、アイフルに対しても拒否したわけです。
そうして1年近くたった先月、アイフルからなんとか和解できないかという電話があったので、当初の支払額60万円(月1万円の60回払い)という案で和解しました。アイフルとしては和解が成立しなければ1円も支払わない状態が続くだけなので、譲歩したということでしょう。
Copyright© 天野司法書士事務所 All rights reserved.