テーマ:成年後見
昨日、80代の女性と任意後見契約をしました。任意後見契約とは、今は元気だけれど、将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ代理人(任意後見人)を決めておく契約です。契約の効力は、判断能力の低下後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で生じます。
私はこの任意後見はなかなかいい制度だと思っています。身近に親族がいない高齢者の方は、将来に不安を持つとともに、なるべく親族に迷惑をかけたくないと考えています。そのような方が任意後見を利用すれば、将来の安心を得ることができます。他方、契約の効力は、判断能力の低下後、任意後見監督人を選任した時点で生じるので、それまで任意後見人の報酬は不要です。けして任意後見契約の翌月から報酬が発生するのではありません。この方もそこが契約のポイントとなりました。
テーマ:成年後見
成年後見人は、本人、配偶者、四親等内の親族などの請求により、家庭裁判所が選任します。法律には「本人」も含まれますが、本人の判断能力が低下したから後見人が選ばれるのですから、本人が請求することは普通、ありません。多くの場合、配偶者か親族が請求することになります。
しかし客観的に後見人を選任すべき事例なのに、後見人の選任を家庭裁判所に申し立てる人(申立人)が見つからないことがあります。この場合は、親族の中から申立人になってくれる人を探すことになります。しかし申立人になるメリットというものは特にないので、そう簡単に見つからないのです。
申立人になる親族がいない場合は、市町村長申立という制度がありますが、これを利用するには親族全員に申立を断られた事実が必要であると思われます。逆に言えばそれまで申立人探しが続くわけです。
テーマ:成年後見
先日、任意後見制度を利用するといくらかかるのかというご質問を受けました。任意後見とは、判断能力が低下する前に任意後見契約を締結し、その後、判断能力が低下し、任意後見監督人が選任された時から後見人が活動を始める制度です。だれが後見人になり、その報酬がいくらかは任意後見契約で決めます。これらをすべて家庭裁判所が決定するのが法定後見です。
私が相談を受けた方は80歳代の女性で、身近に任意後見人の候補者がいないので、司法書士が任意後見人になることを希望されていました。先に述べたように後見人の報酬は任意後見契約で決めることであり、一律ではありません。しかし司法書士などの専門家であれば毎月の報酬は2~3万円が目安です。またそれとは別に任意後見監督人の報酬も必要で、これが月1万円くらいではないでしょうか。そうすると毎月の費用は3~4万円ほどになります。
テーマ:成年後見
昨日は愛知県司法書士会館で行われたリーガルサポートの会議に出席してきました。リーガルサポートとは、成年後見業務に積極的に取り組む司法書士で構成している団体で、正式名称を「公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート」と言います。都道府県ごとに支部があり、私は愛知支部に属しているわけです。
昨日の会議は、地域業務支援委員会ブロック会議と言って、要するに後見人をやっている司法書士間の情報交換、経験交流でした。私も司法書士歴13年になり、登記や債務整理で初めて聞く話というのはほとんどありません。しかし成年後見は初めて聞く話もいっぱいあり、こういう会はありがたいです。
テーマ:成年後見
2月22日放送のNHK福祉ネットワーク 「親のおカネは誰のもの?-成年後見制度-」を見ました。全体として、介護者が親のお金を使うこと一般と、親族後見人が被後見人である親のお金を着服することが明確に区別されておらず、すっきりしない印象を持ちました。現在、大きな問題となっているのはあくまで親族後見人が裁判所から認められた代理権を悪用して、被後見人の預金などを使い込むことです。子どもが親のお金を当てにすること一般ではありません。
番組でも紹介されましたが、親が介護している子に対して、自分のお金を使うのを許すことは何の問題もありません。この点を視聴者が誤解しないか心配です。私はもっと後見人による着服例を具体的に紹介すべきだったと思います。
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