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相続・遺言

死因贈与の欠点 2012年04月09日

テーマ:相続・遺言

 死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与です。例えば、父が長男に対し、自分が死んだら自宅を贈与すると約束することです。
 死因贈与は遺言のように公正証書にする費用や手間がいらず、また税法上、相続として扱われるため贈与税がかからないという長所があります。そのため一見、遺言や生前贈与より利用しやすいようにも思えます。
 
 しかし死因贈与には重大な欠点があり、私はお勧めできません。例えば上記のような死因贈与がなされ、その後、父が死亡したとします。そこで長男が家の名義を自分に変更しようとすると、他の相続人(例えば母や次男)の協力が必要になります。これは贈与者の地位を母や次男も相続するからです。そのため他の相続人が死因贈与に反対すれば、名義の変更はできません。これではなんのために死因贈与をしたのかわからなくなってしまいます。

 やはり生前に死後の財産の処分を決めておきたいのなら、遺言をするべきでしょう。遺言であれば、名義変更に他の相続人の協力は必要ありません。

相続放棄はいつまでできるか。 2012年04月02日

テーマ:相続・遺言

 私の事務所は債務整理の仕事が多いため、関連して相続放棄の手続を依頼されることがあります。亡くなった親族(「被相続人」といいます。)に財産がなく、借金があるときは相続人の方に相続放棄をお勧めしています。

 相続放棄は家庭裁判所に申述する方法によって行うのですが、債務額がわからなければ「不明」の一言で足りますので、実際上の問題は期間の制限だけです。民法では相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内にしなければならないとされています。具体的には

1 配偶者や子が相続人であれば、死亡を知った時が原則です。ただし借金の存在を知らなければ相続放棄を考えることもないので、死亡後に借金を知った場合は、借金の存在を知った時と解釈できます。

2 被相続人の父母は、被相続人に子がいれば相続人になりませんが、その子が相続放棄をすれば相続人になります。 この場合は、子が相続放棄をしたことを知った時が「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。

3 同じく被相続人の兄弟は、被相続人に子や父母がいれば相続人になりませんが、その子と父母が相続放棄をすれば 相続人になります。 よって子と父母が相続放棄をしたことを知った時が「自己のために相続の開始があったことを 知った時」にあたります。

遺言は何のためにするのか。 2012年03月09日

テーマ:相続・遺言

 「相続を争族にしないために」などと言って遺言を勧める記事がありますが、私はこのような言い方はしません。それは遺言が実際にどのように役に立つかが明確でないからです。では、遺言で相続財産の分割方法を決めることにどのような意味があるのでしょうか。

 それは他の相続人の実印が不要になるということです。遺言のない相続では、何をやるにも相続人全員の実印の押印と印鑑証明書の提出が必要です。逆に言えば、相続人全員の意見が一致しなければ何もできません。不動産の名義変更はもちろん、銀行預金の引き出しもできません。これに対し、遺言があれば、他の相続人の印鑑はいらず、財産を相続した相続人のみで手続を進めることができます。

 これが遺言の存在意義です。ですから相続人全員の実印がもらえないような事情がある場合、遺言は有効なのです。ただそれ以上に、遺言に相続人の紛争を防止する効果があるかと言われれば、私は疑問です。人間の感情は紙切れでは抑えきれないものです。

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