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ワークフェア 2013年03月01日

テーマ:社会福祉

 2月15日に法律講座「生活保護のあり方を考える-キーワードは“ワークフェア”-」の講師をしました。予想を超える30人以上の参加があり、時間をかけて準備したかいがありました。今日は私がキーワードとした“ワークフェア”について書きたいと思います。
 ワークフェアとは“ワーク(労働)”と“ウェルフェア(福祉)”の合成語 で、あえて日本語に訳せば、「福祉から就労への移行を重視する政策」と言えるでしょう。日本ではワークフェアを表す単語として「自立支援」という用語がよく使われます。平成17年から実施されている生活保護受給者の自立支援プログラムはワークフェアの典型です。
 現在、「福祉から就労への移行を重視する」ことに反対する人はほとんどいないと思います。問題はその手段として強制力をどの程度用るかです。上述の自立支援プログラムは強制力を伴うことには消極的でした。ところが今年の1月に発表された「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」報告では、ある程度の強制力を認める記述があります。私自身は迷っているところですが、ただ一律の強制はうまくいかないと思っています。

按分弁済による同時廃止処理が正式になくなった。 2013年02月26日

テーマ:自己破産

 毎年、この時期になると司法書士会を通じて、名古屋地方裁判所が同時廃止基準を改訂したとの連絡がありますが、今年もありました。今回の改訂では、按分弁済による同時廃止処理基準の記載の削除が行われました。これは次のような問題です。

 もともと破産には破産管財人を選任する破産(管財事件)と管財人を選任しない破産(同時廃止事件)があります。そして管財事件は同時廃止事件より費用も手間もかかることから、破産申立をするときは、まず同時廃止事件にならないかを考えます。同時廃止基準とは、どういうときなら同時廃止事件になるかを定めた基準のことです。

 同時廃止基準の冒頭に「総額40万円基準」が掲げられています。これは債務者の資産総額が40万円に達しない場合には同時廃止事件、40万円以上の場合は管財事件とするという基準です。例えば唯一の資産が生命保険の解約返戻金であるとすると、解約返戻金の額が20万円であれば同時廃止事件になります。では50万円であればどうでしょう。基準に即せば管財事件になります。しかしこの50万円を債権者に債権額に比例して弁済すれば資産はゼロになります。かつて裁判所は破産申立人に対し、このような按分弁済(あんぶんべんさい)を命じて、同時廃止事件にしていました。

 しかしこのような按分弁済による同時廃止処理は数年前から認められなくなりました。単純に資産の総額が40万円以上であれば管財事件になるようになりました。今年の同時廃止基準の改訂により按分弁済による同時廃止処理は正式になくなりました。

法律講座「生活保護のあり方を考える」のお知らせ 2013年02月01日

テーマ:事務所からのお知らせ

法律講座

 生活保護のあり方を考える-キーワードは“ワークフェア”-

日時  2月15日(金)午後6時30分~8時

場所  鶴舞総合法律事務所 会議室 

講師  司法書士  天野 勲

参加費 無料

主催  つるま法律倶楽部

時効の完成には援用が必要です。 2013年01月31日

テーマ:任意整理

 アペンタクル㈱(旧ワイド)の訴状と㈱日本保証(旧日栄・ロプロ、旧武富士)の督促状を持って相談にみえた方がいました。見てみると最後の返済が平成17年で、すでに5年の時効期間が満了していました。それなのに両社が請求をしてくるのは、時効は債務者が援用という行為をして初めて完成するからです。民法ではこれを「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」と表現しています(第145条)。ですから訴状が届いたのに無視していると、裁判所は援用がなかったものとして貸金業者の請求を認めてしまいます。

 現在、上記の会社を含むJトラストグループは全国的に大量の貸金返還請求訴訟を提起しています。その中にはすでに時効期間が満了したものもかなり含まれているはずです。きちんと時効の援用さえすれば債務を免れることができますので、ぜひご相談下さい。

NHKスペシャル『老人漂流社会』を見て 2013年01月23日

テーマ:社会福祉

 1月20日(日)に放送されたNHKスペシャル『終の住処はどこに 老人漂流社会』を見ました。
 この番組は、介護をする人がいないため自宅では暮らせなくなった老人が介護施設に入居できず、ショートステイをほぼ1ヶ月単位で「漂流」する問題を取り上げたものです。このようなことが起こってしまう直接の原因は番組でも言及されていたように、低所得者でも入居できる特別養護老人ホームが不足していることです。

 しかし私はより根本的には、介護保険制度が間違っていると思わざるを得ません。もともと介護保険は、「施設から在宅へ」という考えで、在宅介護を中心に設計されています。しかし現行の介護保険は家族が介護することを前提とする制度で、高齢者が介護を受けながら一人暮らしをできるものになっていません。したがって家族の介護がない人は自宅で生活できません。他方、「施設から在宅へ」ということで介護保険上の施設は不足したままです。その結果、有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅といった民間施設を利用できるだけのお金がない人は住むところがなくなってしまいます。私は「施設から在宅へ」という聞こえのいいスローガンを再検討する必要があると思っています。

相続人が海外に居住している場合 2013年01月08日

テーマ:相続・遺言

 不動産や預金の相続が生じた場合、遺言がなければ原則として相続人全員が関係書類に実印を押印し、印鑑証明書を提出することが必要です。しかし印鑑証明書というのは日本固有の制度なので、海外に居住し、日本で住民登録をしていない相続人は印鑑証明書を取得することができません。そこで実務上は以下のように扱われます。

 海外に居住している相続人が日本国籍を有していれば、その国の日本大使館または領事館(大使館の支所)にサイン証明書を発行してもらって、印鑑証明書の代わりにすることができます。具体的には、遺産分割協議書に大使館でサインをし、サインをしたのが本人であることは間違いないと記載してある用紙を遺産分割協議書にホチキスで綴じ、割印をしてもらうことになります。たまにホチキスで綴じてない「証明書」を渡されることがありますが、これは大使館の職員が無知なため起こるミスです。ホチキスで綴じてないと使い物になりません。

 以上に対し、海外に居住している相続人がその国に帰化し、日本国籍がない場合は次のようになります。私が経験したのは相続人がアメリカに帰化したケースですので、以下、アメリカについて説明します。この場合はもう日本人ではないので、日本大使館がサイン証明書を発行することはありません。そこで日本の公証人に当たるノータリー・パブリック(Notary Public)の面前で遺産分割協議書にサインをし、認証印を押してもらいます。ノータリー・パブリックは銀行に常駐しているようです。その上で、アメリカ移民局発行の帰化証明書のコピーにも認証印を押してもらいます。私はこの遺産分割協議書と帰化証明書のコピーで相続登記ができました。

年末年始休暇のお知らせ 2012年12月29日

テーマ:事務所からのお知らせ

 当事務所は、12月29日(土)から1月6日(日)まで、年末年始休暇です。

むずかしい障害児福祉 2012年12月21日

テーマ:社会福祉

 社会福祉には、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉などがありますが、私が理解するのにもっとも苦労するのは障害児福祉の分野です。障害児も児童ですから障害児の福祉制度は基本的に児童福祉法で定められているのですが、成人の障害者とも共通点があるので障害者自立支援法の影響を受けたりします。つまり児童福祉と障害者福祉の双方を知らないと理解がむずかしい分野なのです。

 介護保険法の成立により、高齢者福祉が措置制度から利用契約制度に転換し、障害者自立支援法により障害者福祉にも利用契約制度が導入されました。これに対し、児童福祉では全体として契約制度は認められていなかったのですが、障害者自立支援法の成立に伴い、障害児福祉にだけ利用契約制度が導入されました。これなどは児童福祉と障害者福祉が交差する障害児福祉の複雑性を示す例でしょう。

契約書を作成しない基本契約というものがあるのだろうか。 2012年12月18日

テーマ:過払金返還請求

 CFJを相手にした過払金返還請求訴訟で、第一審(簡易裁判所)に全面勝訴し、CFJが控訴した第二審(地方裁判所)でも最近、勝訴した事件があります。結果的に勝訴したからいいのですが、第二審の判決理由に納得いかない点がありました。

 この事件は第1取引と第2取引の間に1年8ヶ月の空白期間があり、争点はこれを一個の契約と見るか、二個の契約と見るかでした。二個の契約とすると、第1取引の過払金返還請求権は時効消滅してしまうので、過払金の額が大幅に減少してしまいます。

 この訴訟で、CFJは第2取引の金銭消費貸借契約書を証拠として提出しませんでした。仮に契約書が作成されていればCFJは当然、提出するので、事実として契約書は作成されなかったと考えられます。第一審はこの事実を重視し、基本契約はもともと一つであると認定しました。これに対し、第二審では、CFJが第2取引を開始するに当たり、借主の信用情報の照会を行っていることなどから、新たな金銭消費貸借の基本契約を締結したと認定しました。その上で最高裁判所の判例の基準に照らし、第1取引と第2取引は事実上1個の連続した金銭消費貸借取引であるとして、第1取引の過払金の第2取引の借入金債務への充当を認めました。

 しかしCFJが契約書を作成しないで基本契約を締結するなどということがあるのでしょうか。もちろん契約書の作成が金銭消費貸借の成立要件だなんて言っているのではありません。私人間の借金で契約書が作成されないことはいくらでもあります。しかし相手はCFJという大手貸金業者です。基本契約を締結するのであれば、必ず契約書を作成するのではないでしょうか。またリボルビング貸付では借入限度額を変更する際に借主の信用情報の照会を行うことは普通のことであり、これが新たな金銭消費貸借の基本契約を締結したという理由になるとも思えません。
 私は別個の基本契約を認めるのであれば、契約書の作成の有無は決定的な事実であると思うのですがどうでしょうか。

重度訪問介護 2012年11月20日

テーマ:社会福祉

 今日の朝日新聞に、重度訪問介護の記事が載っています。重度訪問介護とは、障害者自立支援法の制度で、同法によれば、「重度の肢体不自由者であって常時介護を要する障害者につき、居宅における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与すること」です。これだけではわかりにくいですが、要するにヘルパーが障害者の居宅で介護したり、外出に同行する制度です。重度の障害者は絶え間なく介護が必要なので、重度訪問介護が最大で1日24時間1年365日、提供されることになります。

 私はこの重度訪問介護が障害者福祉を特徴づけている制度だと思っています。現在、高齢者も障害者も、施設から在宅へ移行することが望まれていますが、介護保険には重度訪問介護のような制度はありません。そのため要介護度が高い高齢者が在宅で生活しようとすれば、結局は家族が介護しなければならなくなります。これに対し、障害者福祉には重度訪問介護があるので、重度の障害者が在宅で一人暮らしをすることが可能になります。

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