2012年
5月
17日
昨日、80代の女性と任意後見契約をしました。任意後見契約とは、今は元気だけれど、将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ代理人(任意後見人)を決めておく契約です。契約の効力は、判断能力の低下後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で生じます。
私はこの任意後見はなかなかいい制度だと思っています。身近に親族がいない高齢者の方は、将来に不安を持つとともに、なるべく親族に迷惑をかけたくないと考えています。そのような方が任意後見を利用すれば、将来の安心を得ることができます。他方、契約の効力は、判断能力の低下後、任意後見監督人を選任した時点で生じるので、それまで任意後見人の報酬は不要です。けして任意後見契約の翌月から報酬が発生するのではありません。この方もそこが契約のポイントとなりました。
2012年
5月
11日
5月9日、NISグループ(株)が民事再生の申請をし、倒産しました。ネオライングループの倒産としては、昨年のSFコーポレーションに続き、2件目です。
私は、昨年の11月にNISグループから、「過払金の5%の返還」という提案を受け、「そんなに経営が厳しく、過払金の5%しか返還できないのであれば、早く破産などの法的整理を行うべきでしょう。他のネオライングループも同様ですが、そのような会社が存続しているのは非常識です。」とブログに書きました。この考えは今も変わっていませんので、その意味では納得しています。
ちなみに上記の件は、依頼者が早期解決を希望したため、7%弱で和解をし、今年の2月に入金されました。私としては不本意な和解でしたが、入金が5月9日以降だったなら7%弱の返還も無理でしょうから、少し気分が晴れました。
2012年
5月
09日
「大阪維新の会」の大阪市議団は、5月市議会に提出予定だった家庭教育支援条例案を白紙撤回しました。発達障害は親の愛情不足が原因などというとんでもない内容でしたから、批判が続出したのも当然です。
発達障害の法律上の定義は、発達障害者支援法第2条にあります。そこには「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」とあります。発達障害は、身体障害、知的障害、精神障害の3障害に比べ、認識が遅れており、発達障害者支援法が施行されたのも2005(平成17)年でした。それでもそれ以降は、発達障害は法律上も「脳機能の障害」であることが明示されました。そして同法を受けて、障害者基本法は障害者の定義を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者」と変更しました。つまり3障害との関係では、発達障害は精神障害に含まれることになりました。
このように考えると、発達障害を脳機能の障害(精神障害)ととらえていない家庭教育支援条例案は、発達障害者支援法や障害者基本法にも反するものと言えます。
2012年
5月
08日
過払金の返還請求権の時効期間は原則として取引の終了日から10年です。したがって最終の借入日又は返済日から10年を経過していれば時効により過払金は請求できません。逆に10年を経過していなければ請求できます。
よく「10年が経っているかがわからない」というご意見をいただきますが、それは貸金業者から取引履歴を取り寄せればわかるし、取り寄せない限りわからないことです。当事務所では、完済後の過払金の返還請求の報酬は、返還された額の21%(税込)ですので、時効によって過払金が請求できなければ、費用がかからないというシステムになっています。したがって「10年が経っているかがわからない」方でも、費用の心配なく、依頼していただけます。
2012年
5月
01日
私が「社会福祉の介護保険化」ということばを知ったのは、鹿児島大学法科大学院の伊藤周平教授の一連の著作からです。それはこのような内容です。
従来の社会福祉は、①施設補助(現物給付)方式、②市町村を通した入所・利用、③応能負担という特徴があったが、2000(平成12)年から施行された介護保険法により、高齢者福祉は①利用者補助(現金給付)方式、②直接契約による入所・利用、③応益負担に転換した。
この介護保険法をモデルにして、障害者福祉の分野で2006(平成18)年から障害者自立支援法が施行された。
そして児童福祉を介護保険や障害者自立支援法と同じ仕組みに転換しようとするのが、現在、国会に提出されている「子ども・子育て新システム」法案である。
このような高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉に共通する「社会福祉の介護保険化」という説明はとても新鮮でした。このように考えると、政府がいったんは障害者自立支援法の廃止を約束しながら、それを反故にしようとした理由もよくわかります。障害者自立支援法の廃止と「子ども・子育て新システム」の制定は、理念として矛盾するからです。
2012年
4月
26日
成年後見人は、本人、配偶者、四親等内の親族などの請求により、家庭裁判所が選任します。法律には「本人」も含まれますが、本人の判断能力が低下したから後見人が選ばれるのですから、本人が請求することは普通、ありません。多くの場合、配偶者か親族が請求することになります。
しかし客観的に後見人を選任すべき事例なのに、後見人の選任を家庭裁判所に申し立てる人(申立人)が見つからないことがあります。この場合は、親族の中から申立人になってくれる人を探すことになります。しかし申立人になるメリットというものは特にないので、そう簡単に見つからないのです。
申立人になる親族がいない場合は、市町村長申立という制度がありますが、これを利用するには親族全員に申立を断られた事実が必要であると思われます。逆に言えばそれまで申立人探しが続くわけです。
2012年
4月
21日
今週、衆議院の厚生労働委員会で、障害者自立支援法の改正案として、障害者総合支援法案が可決されました。もともと政府は、障害者自立支援法違憲訴訟の「基本合意」で、障害者自立支援法を廃止し、新しい法律を制定すると約束しました。今回の事態は、形式的に障害者自立支援法の改正としていることのみならず、実質的にも同法の重要部分を引き継いでいることからも、完全に基本合意に違反しています。基本合意は裁判上の和解であり、裁判上の和解は確定判決と同一の効力を有します。これを指摘している記事 <a href=”http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-2417.html”
私に言わせれば、国会と内閣が、裁判所を否定したということです。政府は「法律を廃止すると現場が混乱する」などという言い訳をしています。しかしこれはまったく理由になりません。現場が混乱しないような法律を作ればいいだけのことです。マスコミはこのような政府の言い分にだまされず、もっとこの問題を取り上げるべきです。
2012年
4月
18日
「アコム(株)の貸付停止措置」という論点があることは知っていましたが、私がアコムから直接、主張されたことがなかったので、あまり深く考えていませんでした。しかし、ついに私も関わることになりました。
私の依頼者は、平成7年に返済が遅れ、それを理由にアコムは貸付停止措置をとったようで、その後は平成15年まで新たな借入はなく、返済のみをしていました。過払金の返還請求権の時効期間は原則として取引の終了日から10年なので、なんとか時効にかからないはずでした。
ところがアコムは、平成7年から新たに借入をできなかった以上、この時点から過払金の返還請求が可能であったはずであるから、過払金は発生の都度、時効が進行すると主張しています。そして今から10年前の平成14年3月以前の過払金返還請求権の時効消滅を前提とした和解案を提示してきました。
この論点に対する最高裁判決はまだなく、高等裁判所レベルでは判断が分かれています。私の見解では、最高裁まで行けば、アコムが負ける可能性が高いと思いますが、それまで待っていることもできません。このままアコムの和解案を受け入れるつもりはありませんが、その後の展開が読めません。
2012年
4月
16日
先週の土曜日は「介護保険制度の改正について」というテーマの高齢者問題・専門職ネットワーク勉強会に参加しました。登記や債務整理は介護保険のことを知らなくてもできますが、成年後見をやるのであれば介護保険の知識は必須だと思います。
勉強会では、今回の改正の目玉である24時間対応の定期巡回・随時対応サービスについて、市町村のモデル事業に取り組んでいる方から発言がありました。それを聞く限りでは、このサービスを利用する要介護者はかなり限定されるという印象を持ちました。このサービスは在宅で介護をしている家族を援助するという域を出ておらず、一人暮らしの要介護者がこのサービスを利用して在宅で過ごすことを目指していないので、要介護者にはあまり望まれないようです
2012年
4月
09日
死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与です。例えば、父が長男に対し、自分が死んだら自宅を贈与すると約束することです。
死因贈与は遺言のように公正証書にする費用や手間がいらず、また税法上、相続として扱われるため贈与税がかからないという長所があります。そのため一見、遺言や生前贈与より利用しやすいようにも思えます。
しかし死因贈与には重大な欠点があり、私はお勧めできません。例えば上記のような死因贈与がなされ、その後、父が死亡したとします。そこで長男が家の名義を自分に変更しようとすると、他の相続人(例えば母や次男)の協力が必要になります。これは贈与者の地位を母や次男も相続するからです。そのため他の相続人が死因贈与に反対すれば、名義の変更はできません。これではなんのために死因贈与をしたのかわからなくなってしまいます。
やはり生前に死後の財産の処分を決めておきたいのなら、遺言をするべきでしょう。遺言であれば、名義変更に他の相続人の協力は必要ありません。