法定後見=判断能力の低下後に裁判所が成年後見人などを選任する制度には、後見、保佐、補助の3類型があります。
① 後見=判断能力を常に欠く=自己の財産を管理、処分することができない
② 保佐=判断能力が著しく不十分=自己の財産を管理、処分するには、常に援助が必要
③ 補助=判断能力が不十分=自己の財産を管理、処分するには、援助が必要な場合がある
家庭裁判所は医師の診断書等を参考に本人が後見、保佐、補助のいずれに該当するかを判断し、成年後見人、保佐人、補助人を選任します。実際の後見、保佐、補助の割合はそれぞれ80%、16%、4%です(2016年)。後見が多数で、補助はほとんどありません。
このように法定後見には3つの類型があるのですが、実務上は①後見と②保佐、補助の違いが重要です。これは①後見と②保佐、補助では代理権の有無に差があるからです。後見人には法律上、当然に代理権が認められますが、保佐人、補助人に代理権を与えるためには本人の同意が必要です。このため保佐人、補助人に財産管理の代理権を与えようとしても、本人が同意しなければできません。保佐人と補助人の差はそれほど大きくありませんが、成年後見人と保佐人の違いは大きなものがあります。
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