テーマ:社会福祉
高額所得者であるお笑い芸人の母が生活保護を受給していたことが大きく報道されました。しかし不思議なことに、生活保護法の条文を引用した解説はほとんどありません。
問題の核心は、生活保護法第4条に違反していたかどうかです。
(保護の補足性)
第4条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2 民法 (明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3 前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。
生活保護は、補足性が要件になっています。すなわち生活保護は第1項にあるように、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを活用しても最低限度の生活の維持ができないときに認められます。そして第2項で、扶養義務者の扶養は生活保護に優先するとしています。ちなみに、ここで言う「民法」とは、第877条のことで、その第1項では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。そうであれば、子に別居する母親を扶養できるほどの高額の収入があり、援助が可能であれば、子の扶養義務が優先し、生活保護は認められないと言わざるを得ません。法律の解釈としては、こうなるはずです。
ただしそのようなケースは例外中の例外でしょう。子が親に月10万円以上を送金できる家庭は普通、ありませんので、通常の生活保護受給者には何の関係もない話です。
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