テーマ:社会福祉
1月20日(日)に放送されたNHKスペシャル『終の住処はどこに 老人漂流社会』を見ました。
この番組は、介護をする人がいないため自宅では暮らせなくなった老人が介護施設に入居できず、ショートステイをほぼ1ヶ月単位で「漂流」する問題を取り上げたものです。このようなことが起こってしまう直接の原因は番組でも言及されていたように、低所得者でも入居できる特別養護老人ホームが不足していることです。
しかし私はより根本的には、介護保険制度が間違っていると思わざるを得ません。もともと介護保険は、「施設から在宅へ」という考えで、在宅介護を中心に設計されています。しかし現行の介護保険は家族が介護することを前提とする制度で、高齢者が介護を受けながら一人暮らしをできるものになっていません。したがって家族の介護がない人は自宅で生活できません。他方、「施設から在宅へ」ということで介護保険上の施設は不足したままです。その結果、有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅といった民間施設を利用できるだけのお金がない人は住むところがなくなってしまいます。私は「施設から在宅へ」という聞こえのいいスローガンを再検討する必要があると思っています。
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