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社会福祉

応益負担は社会福祉にはなじまない。 2012年03月14日

テーマ:社会福祉

 社会福祉の世界では、応益負担と応能負担という用語がよく使われます。応益負担とは、福祉制度を利用した時間(利益)に応じて費用を負担することです。これに対し、応能負担とは、利用者の能力(要するに所得)に応じて費用を負担することです。

 従来の社会福祉は応能負担でした。それが平成12年(2000年)の介護保険の導入で応益負担に方向転換しました。介護保険は利用者が利用料の1割を負担するという応益負担の制度です。その後、平成18年(2006年)から施行された障害者自立支援法で障害者福祉の分野にも応益負担が導入されました。しかし障害者はその障害ゆえに福祉制度の援助がなければ日常生活を営むことができません。それを「利益」というのはそもそもおかしなことです。私は社会福祉は応能負担であるべきであって、応益負担はなじまないと思っています。

 障害者自立支援法は障害者から大きな批判を浴び、全国で違憲訴訟が提起されました。また民主党も障害者自立支援法の廃止を選挙公約にしました。その結果、平成22年(2010年)に国と違憲訴訟原告団・弁護団との間で基本合意が成立しました。この基本合意文書には次のような記述があります。

  「国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間しての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。」

 ところが政府は現在、この基本合意を反故(ほご)にしようとしています。障害者自立支援法の名称だけを変えて、重要部分を温存しようとしています。これは絶対に許されないことです。

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