テーマ:成年後見
土曜日は、身元保証の勉強会に行ってきました。高齢者が病院に入院したり、施設に入所するとき、通常、身元保証人を求められます。家族がいれば家族が身元保証人になります。しかし家族が身元保証人になるのが無理な場合は、成年後見人が身元保証人になるように求められたりします。そこで身元保証が成年後見の世界で問題になるわけです。
入院や入所の身元保証を定めた法律はありません。実は、「身元保証ニ関スル法律」という法律はあるのですが、これは被用者の行為によって使用者の受ける損害を賠償することを約束する身元保証契約、すなわち雇用契約の保証について定めた法律です。なので入院や入所の身元保証の内容は当然、明確なものではありません。この点、特別養護老人ホームの職員の方からは、身元保証人の責務として、①入居者の引き取り(身体)、②身の回りのものの引き取り(物品)、③支払いの連帯保証(対価)の3点が指摘されました。私もそんなものだろうと思います。
興味深かったのは、介護保険が始まる12年前までは施設では身元保証を求めていなかったという話です。それまでは行政の措置で入所が決まるので、最終的にはすべて行政が責任を負いました。それが介護保険の施行で「措置から契約へ」転換し、施設が入居者と直接、契約をするようになりました。そこで施設は自らの損害に備え、身元保証を求めるようになったとのことです。つまり高齢者福祉の分野では、身元保証というのは極めて現代的な問題なのです。
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