テーマ:自己破産
毎年、この時期になると司法書士会を通じて、名古屋地方裁判所が同時廃止基準を改訂したとの連絡がありますが、今年もありました。今回の改訂では、按分弁済による同時廃止処理基準の記載の削除が行われました。これは次のような問題です。
もともと破産には破産管財人を選任する破産(管財事件)と管財人を選任しない破産(同時廃止事件)があります。そして管財事件は同時廃止事件より費用も手間もかかることから、破産申立をするときは、まず同時廃止事件にならないかを考えます。同時廃止基準とは、どういうときなら同時廃止事件になるかを定めた基準のことです。
同時廃止基準の冒頭に「総額40万円基準」が掲げられています。これは債務者の資産総額が40万円に達しない場合には同時廃止事件、40万円以上の場合は管財事件とするという基準です。例えば唯一の資産が生命保険の解約返戻金であるとすると、解約返戻金の額が20万円であれば同時廃止事件になります。では50万円であればどうでしょう。基準に即せば管財事件になります。しかしこの50万円を債権者に債権額に比例して弁済すれば資産はゼロになります。かつて裁判所は破産申立人に対し、このような按分弁済(あんぶんべんさい)を命じて、同時廃止事件にしていました。
しかしこのような按分弁済による同時廃止処理は数年前から認められなくなりました。単純に資産の総額が40万円以上であれば管財事件になるようになりました。今年の同時廃止基準の改訂により按分弁済による同時廃止処理は正式になくなりました。
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