テーマ:成年後見
今月、民法等が改正され、成年後見人が本人の死亡後、火葬、納骨の契約をできるようになりました。
ということは、これまでできなかったということです。成年後見人は本人(成年被後見人)の死亡により後見人ではなくなりますので、本人の死亡後、後見人として契約をすることは原則として認められていません。ですから火葬や納骨を行うことは法律上、認められなかったのです。しかし現実には葬儀などを行う親族等がいないような場合は、後見人が中心となって進めることが周囲から期待されることが多いわけです。そこでそのような場合は事実上、後見人が行うこともありました。今回の法改正はそのような現実に法律を合わせたものと言えるでしょう。
今後、成年後見人は家庭裁判所の許可を得て、「死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」ができるようになります。火葬とは遺体を焼くこと、埋葬とは遺体を土に埋めることです。なので火葬後に遺骨を納骨することは厳密には含まれないのですが、納骨に関する契約は「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に準ずるものとされています。
注意しなければならないのは、葬儀は含まれていないということです。したがって成年後見人は後見事務の一環として被後見人の葬儀を行うことはできません。その理由として法務省のホームページでは「葬儀には宗派,規模等によって様々な形態があり,その施行方法や費用負担等をめぐって,事後に成年後見人と相続人の間でトラブルが生ずるおそれがあるためです」と説明しています。たしかに相続人の意思とは無関係に葬儀を行い、その費用を本人の財産から支出することは避けるべきだと思います。
まとめると、今回の改正で成年後見人が本人の死亡後、火葬、納骨の契約をすることができるようになりました。しかし成年後見人が葬儀の契約をすることはできません。
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