テーマ:相続・遺言
子は親の相続人です。では、子が親がより先に死亡したときはどうなるか。答えは子の子(孫)が相続人となる、です。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)と言います。代襲相続は民法887条に定められています。
間違えやすいのは、相続放棄は代襲相続の原因にはならないということです。つまり子が相続放棄をしても、孫が親を相続することにはなりません。この場合は子の次順位の者(第1が親の直系尊属、第2が親の兄弟姉妹)が親を相続します。
テーマ:相続・遺言
私は、「相続でもめないために、遺言を作りましょう」という言い方が好きではありません。遺言というものは、「作れば、もめない」ものではなく、「もめそうだから、作る」ものだと思うからです。
遺言の存在意義は、他の相続人の実印が不要になるということです。遺言のない相続では、何をやるにも相続人全員の実印の押印と印鑑証明書の提出が必要です。逆に言えば、相続人全員の意見が一致しなければ何もできません。不動産の名義変更はもちろん、銀行預金の引き出しもできません。これに対し、遺言があれば、他の相続人の印鑑はいらず、財産を相続した相続人のみで手続を進めることができます。つまり相続人間でもめても、手続をすすめることができるのです。このように考えると、「相続でもめないために、遺言を作る」というのはちょっと違うとしか思えません。「相続をスムーズに進めるために、遺言を作る」というなら、まだわかりますが。
昨日の日本経済新聞の記事に、遺言の内容が原因で相続争いになったケースが紹介されていました。そのようにならないために記事では、「遺言で遺留分を侵害しない」ことを挙げていましたが、私は遺留分を侵害していないのに、相続人間で紛争になったケースを知っています。遺言があっても、もめるときはもめるのです。
テーマ:相続・遺言
先週、「エンディングノート」という映画を見ました。この映画の影響もあって、現在、エンディングノートがちょっとしたブームのようです。
従来、亡くなる人が書き残すものとしては、遺言が挙げられました。しかし実は遺言で法的効力が認められる事項は相続分の指定や遺贈など、かなり限られているのです。財産の分け方がほとんどを占めます。それ以外のこと、例えば葬儀の進め方などは遺言に記載することはできますが、法的効力がありません。そのため法律家は(私も含め)遺言に書くことを勧めてきませんでした。
エンディングノートがブームとなったのも、遺言では自分の思いを十分、表現できないということが知られてきたからではないでしょうか。エンディングノートには、葬儀の進め方はもちろん、残された家族へのメッセージ、自分の人生の振り返りなども書くことができます。要するに自分の書き残したいことが自由に書けるのです。
ただし、エンディングノートには法的効力はありません。ですから法的効力が必要なら遺言、不要ならエンディングノートという使い分けをするのがいいと思います。
テーマ:相続・遺言
死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与です。例えば、父が長男に対し、自分が死んだら自宅を贈与すると約束することです。
死因贈与は遺言のように公正証書にする費用や手間がいらず、また税法上、相続として扱われるため贈与税がかからないという長所があります。そのため一見、遺言や生前贈与より利用しやすいようにも思えます。
しかし死因贈与には重大な欠点があり、私はお勧めできません。例えば上記のような死因贈与がなされ、その後、父が死亡したとします。そこで長男が家の名義を自分に変更しようとすると、他の相続人(例えば母や次男)の協力が必要になります。これは贈与者の地位を母や次男も相続するからです。そのため他の相続人が死因贈与に反対すれば、名義の変更はできません。これではなんのために死因贈与をしたのかわからなくなってしまいます。
やはり生前に死後の財産の処分を決めておきたいのなら、遺言をするべきでしょう。遺言であれば、名義変更に他の相続人の協力は必要ありません。
テーマ:相続・遺言
私の事務所は債務整理の仕事が多いため、関連して相続放棄の手続を依頼されることがあります。亡くなった親族(「被相続人」といいます。)に財産がなく、借金があるときは相続人の方に相続放棄をお勧めしています。
相続放棄は家庭裁判所に申述する方法によって行うのですが、債務額がわからなければ「不明」の一言で足りますので、実際上の問題は期間の制限だけです。民法では相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内にしなければならないとされています。具体的には
1 配偶者や子が相続人であれば、死亡を知った時が原則です。ただし借金の存在を知らなければ相続放棄を考えることもないので、死亡後に借金を知った場合は、借金の存在を知った時と解釈できます。
2 被相続人の父母は、被相続人に子がいれば相続人になりませんが、その子が相続放棄をすれば相続人になります。 この場合は、子が相続放棄をしたことを知った時が「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。
3 同じく被相続人の兄弟は、被相続人に子や父母がいれば相続人になりませんが、その子と父母が相続放棄をすれば 相続人になります。 よって子と父母が相続放棄をしたことを知った時が「自己のために相続の開始があったことを 知った時」にあたります。
テーマ:相続・遺言
「相続を争族にしないために」などと言って遺言を勧める記事がありますが、私はこのような言い方はしません。それは遺言が実際にどのように役に立つかが明確でないからです。では、遺言で相続財産の分割方法を決めることにどのような意味があるのでしょうか。
それは他の相続人の実印が不要になるということです。遺言のない相続では、何をやるにも相続人全員の実印の押印と印鑑証明書の提出が必要です。逆に言えば、相続人全員の意見が一致しなければ何もできません。不動産の名義変更はもちろん、銀行預金の引き出しもできません。これに対し、遺言があれば、他の相続人の印鑑はいらず、財産を相続した相続人のみで手続を進めることができます。
これが遺言の存在意義です。ですから相続人全員の実印がもらえないような事情がある場合、遺言は有効なのです。ただそれ以上に、遺言に相続人の紛争を防止する効果があるかと言われれば、私は疑問です。人間の感情は紙切れでは抑えきれないものです。
Copyright© 天野司法書士事務所 All rights reserved.