テーマ:社会福祉
今日の朝日新聞に、重度訪問介護の記事が載っています。重度訪問介護とは、障害者自立支援法の制度で、同法によれば、「重度の肢体不自由者であって常時介護を要する障害者につき、居宅における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与すること」です。これだけではわかりにくいですが、要するにヘルパーが障害者の居宅で介護したり、外出に同行する制度です。重度の障害者は絶え間なく介護が必要なので、重度訪問介護が最大で1日24時間1年365日、提供されることになります。
私はこの重度訪問介護が障害者福祉を特徴づけている制度だと思っています。現在、高齢者も障害者も、施設から在宅へ移行することが望まれていますが、介護保険には重度訪問介護のような制度はありません。そのため要介護度が高い高齢者が在宅で生活しようとすれば、結局は家族が介護しなければならなくなります。これに対し、障害者福祉には重度訪問介護があるので、重度の障害者が在宅で一人暮らしをすることが可能になります。
テーマ:任意整理
借金を長期間、返済していない場合は、時効が成立している可能性があります。具体的には、貸金業者や銀行の債務であれば、最後の返済から5年、公的機関(例えば住宅金融支援機構)なら10年が経過すれば時効が成立します。しかし時効完成前に中断事由があれば、時効の成立が阻止されます。何が時効の中断事由になるかは、民法147条に定められています。
(時効の中断)
第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
第1号に「請求」とあることから、債権者が電話や手紙で請求すれば、時効が中断すると勘違いする人もいます。しかしこの請求は「裁判上の請求」(第149条)及びそれに類するものです。裁判所を使わない請求をいくらしても時効は中断しません。ですから仮に内容証明郵便で支払を督促しても、それだけでは時効は中断しません。意外と、内容証明なら時効が中断すると思っている人が多いようなので書いてみました。
テーマ:成年後見
土曜日は、身元保証の勉強会に行ってきました。高齢者が病院に入院したり、施設に入所するとき、通常、身元保証人を求められます。家族がいれば家族が身元保証人になります。しかし家族が身元保証人になるのが無理な場合は、成年後見人が身元保証人になるように求められたりします。そこで身元保証が成年後見の世界で問題になるわけです。
入院や入所の身元保証を定めた法律はありません。実は、「身元保証ニ関スル法律」という法律はあるのですが、これは被用者の行為によって使用者の受ける損害を賠償することを約束する身元保証契約、すなわち雇用契約の保証について定めた法律です。なので入院や入所の身元保証の内容は当然、明確なものではありません。この点、特別養護老人ホームの職員の方からは、身元保証人の責務として、①入居者の引き取り(身体)、②身の回りのものの引き取り(物品)、③支払いの連帯保証(対価)の3点が指摘されました。私もそんなものだろうと思います。
興味深かったのは、介護保険が始まる12年前までは施設では身元保証を求めていなかったという話です。それまでは行政の措置で入所が決まるので、最終的にはすべて行政が責任を負いました。それが介護保険の施行で「措置から契約へ」転換し、施設が入居者と直接、契約をするようになりました。そこで施設は自らの損害に備え、身元保証を求めるようになったとのことです。つまり高齢者福祉の分野では、身元保証というのは極めて現代的な問題なのです。
テーマ:過払金返還請求
先日、地方裁判所でアコムと和解が成立しました。貸付停止措置が争点となっていた案件です。
この訴訟の原告はアコムと取引中に返済が数ヶ月、できなくなり、アコムは貸付を停止しました。その後、原告は長年、返済だけを続け、完済しました。最近になって私が過払金の返還請求の依頼を受けたため、アコムに連絡したところ、アコムは貸付停止措置をとった時点から過払金の時効が進行しているので、過払金の大半は発生から10年が経過し、時効消滅したという主張をしました。その後のやりとりの中で、アコムは過払金元本の5割弱の返還という提案をしてきましたが、依頼者の方は納得できず、地方裁判所に訴訟を提起しました。地方裁判所なので、アコムは弁護士を代理人にしました。
アコムは、最高裁判所が新たな借入債務の発生が見込まれなくなった時点=取引が終了した時点から時効が進行するとしたのを逆手にとり、貸付停止措置をとった時点が新たな借入債務の発生が見込まれなくなった時点だから、貸付停止措置をとった時点から過払金の時効が進行すると主張しました。しかし現実にはアコムは貸付停止措置をとった後に貸付を再開することもあるのですから、説得力がありません。裁判官もアコムの主張は「弱い」と言っていました。たぶんこれが多くの裁判官の考えだと思います。
しかし同時にアコムの主張を認めた判決がたくさんあるのも事実で、仮に一審で勝訴しても控訴審で逆転される可能性はゼロではありません。原告も私もそれだけは避けたいと思いました。そこで原告は過払金元本の8割の返還で納得し、裁判上の和解をしました。
テーマ:不動産担保、住宅ローン
昨年、6月に破産申立をし、管財事件になっていた事案が今月、終了しました。今は管財事件といえども、申立から4ヶ月くらいで終了するケースも多いので、債権者への配当もないのに1年5ヶ月もかかるのは珍しいといえます。
原因は破産者が所有していたマンションが任意売却できず、不動産競売で処理されたからです。もともとこのケースはマンションがオーバーローン基準を満たさず、同時廃止にならなかった事案です。もっともそういう場合でも最近は任意売却してから、破産申立をすることが多いのですが、事情により申立前の任意売却もできませんでした。ですので私としては破産管財人に任意売却をしてもらう予定で破産申立をしました。
当初はもちろん破産管財人も任意売却する予定でした。ところが市役所の差押がネックになりました。このマンションは破産者が固定資産税を払っていなかったため、市役所が差押の登記をしていました。任意売却するには、この差押の登記を抹消してもらうように事前に市役所の同意を得ることが必要です。しかし市役所は近年、滞納税金を完済しなければ差押の抹消を認めないという姿勢に転換し、かつ破産者側も滞納税金の完済ができなかったため、結果としては差押の抹消の同意は得られませんでした。
これにより任意売却は不可能となり、後は住宅ローン会社が競売をするのを待つだけになりました。そのためかなり時間がかかったわけです。以上のように任意売却というのは必ずできるというものではないのです。
テーマ:成年後見
昨日から後見届を提出するため、金融機関を回っています。私が成年後見人に選任された審判が先月末に確定したのですが、成年後見の登記が完了した旨の連絡は今週だったからです。
この点はもう少し説明がいるかもしれません。成年後見人を選任した審判が確定すると、家庭裁判所は東京法務局に対し、成年後見登記の申請をします。この登記が完了するのに、確定から2週間くらいかかるのです。本当は確定後、すぐに金融機関に後見人の届出をしたいのですが、金融機関は登記事項証明書を要求するので、登記完了後になるわけです。
いまだに金融機関で「後見届は初めてです」というような対応をされると、成年後見制度というのは普及していないんだなあと思ってしまいます。後見届を出すだけで一社につき1時間くらいを見込まなければならないのはたいへんです。
テーマ:社会福祉
地元の中日新聞で、知り合いの記者さんが生活保護の連載をしています。表面的な記事の多い他紙と比べ、掘り下げた記事が多く、非常に勉強になります。
今日の記事では、自立支援プログラムを取り上げていました。自立支援プログラムとは、平成17年から実施されている制度で、現に生活保護を利用している人の課題を類型化し、必要な支援をプログラムにして行っていくというものです。それまでどちらかといえば個々の福祉事務所や担当者まかせになっていた自立支援を組織化したものと言えるでしょう。
私は生活保護に自立支援プログラムというものがあることは知っていましたが、具体的なことは知りませんでした。今日の記事で自立支援プログラムの「先進」である釧路市の例を知ることができてよかったです。
テーマ:自己破産
このブログでは何度も破産手続には、破産管財人が選任されない同時廃止(同廃)事件と破産管財人が選任される管財人選任(管財)事件の2種類があることを述べてきました。従来は破産の約9割が同廃事件、残りの1割が管財事件と言われており、私の事務所でも圧倒的多数は同廃事件でした。
しかし近年、管財事件の比率が高まっているようで、私の事務所でも最近は管財事件の方が多くなっています。原因としては第1に裁判所が従来よりも同廃事件を認めなくなったことがあげられます。例えば昔は会社の代表取締役が倒産した会社を放置し、自分個人の破産申立をした場合、会社の倒産が何年も前であれば同廃が認められていました。しかしこの数年はまず会社、個人両方の破産が求められ、それができなければ個人の破産は管財事件になります。
第2に破産の数自体が大幅に減少する一方で、複雑な事情のあるケースの比率が増えたこともあげられます。そうするとどうしても同廃事件より管財事件の比率が高くなります。
管財事件は同廃事件よりかなり費用がかさみます。なので私の事務所でも長期間、費用を積み立てももらうことが増えました。
テーマ:債務整理全般
破産した商工ローン会社の(株)SFCG(旧商工ファンド)の債権を請求する支払督促が届いたという相談が連続してありました。SFCGから債権を譲り受けた合同会社が、債権回収会社(サービサー)に取立を委託し、サービサーが代理人として支払督促を申し立てたものです。
支払督促とは、金銭債権の請求について、債権者の申立だけで認められる督促方法です。支払督促は債務者が異議を出せば失効して訴訟に移行するし、債務者が異議を出さなければ確定し判決と同じ債務名義になります。債権者にとってのメリットは、わざわざ裁判所に行かなくても債務名義を得られる可能性があることです。
今回の支払督促の特徴は、請求の趣旨が140万円の一部請求になっていることです。これは債権回収会社の訴訟代理権が、簡易裁判所の訴額140万円以下に限定されているからです。これ以上の請求をするには弁護士に委任しなければならないので、あえて140万円にしているのでしょう。一部請求というのは聞き慣れないかもしれませんが、債権全部(例えば300万円)の一部(例えば140万円)についてとりあえず請求するという請求の仕方です。注意しなければならないのは、仮にこの支払督促に基づいて140万円を支払っても、残りの160万円の債務は残ることです。つまり一部請求後の残部請求は認められるということです。
テーマ:成年後見
8月7日に成年後見人の選任申立の受理面接を行ったところ、14日に後見人選任の審判が出ました。今回は1週間でした。もっとも受理面接は予約から3週間後でしたし、面接の1週間前に必要書類は予め提出していたという前提がありますが。
受理面接から審判までの期間の長短は、①医師による鑑定、②調査官による本人調査、③関係人意向照会が実施されるか、省略されるかで決まります。今回の申立は、後見相当という診断書を添付しての後見申立でしたので、①②が省略され、また事前にすべての推定相続人の了解を得たので③が省略されて、1週間という短期で審判が出たということだと思います。実は後見相当という医師の診断書をもらうのに、かなり時間がかかったのですが、その話はいずれ紹介したいと思います。
Copyright© 天野司法書士事務所 All rights reserved.