テーマ:相続・遺言
地元の弁護士、税理士の方と一緒に「相続・遺言・家族信託早わかり講座」を行います。当事務所の司法書士は、家族信託についてお話しする予定です。
相続・遺言・家族信託早わかり講座
日 時 4月19日(水)13:30~16:00
※ご予約頂いた方を優先的にご案内させていただきます。
場 所 名古屋市高齢者従業支援センター 4階第2研修室
昭和区御器所通3丁目12番地1 御器所ステーションビル
講 師
弁護士 小島 髙志(鶴舞総合法律事務所)
税理士 伊藤 照治(税理士法人オーティーエー)
司法書士 天野 勲(天野司法書士事務所)
内 容 変わってきた遺産相続、相続税
遺言を作った方がいいケースとは?
今、話題の家族信託とは?
ご参加希望の方は、お電話にてご予約ください。
052-853-0409(天野司法書士事務所)
最高裁判所は1月31日、相続税対策で孫と結んだ養子縁組は有効かどうかが争われた訴訟で、「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」との初判断を示しました。
この判例を理解するには、①なぜ養子縁組が相続税対策になるのか②縁組の意思とは何か、を知る必要があります。
①なぜ養子縁組が相続税対策になるのか
相続税は、相続財産から基礎控除を引いた財産にかかります。基礎控除は現在、3000万円+600万円×相続人の数 です。例えば相続人が実子3名だと、3000万円+600万円×3=4800万円 となります。このケースで孫と養子縁組をしたとします。養子は実子と同じく相続人になりますので、基礎控除は3000万円+600万円×4=5400万円になります。このように相続人の数が増えれば基礎控除の額も増え、その結果として相続税が減るわけです。
②縁組の意思とは何か
民法は当事者間に縁組の意思がないときは縁組は無効とするとしています(第802条第1号)。本件ではこの縁組の意思が祖父にあったかどうかが争点になったわけです。
縁組の意思とは、社会通念上親子関係と認められる関係を成立させるという意思(実質的意思)と解されています。単に縁組届出をする意思(形式的意思)ではありません。そうすると節税目的の養子縁組は実子と同じ親子関係(例えば同居するなど)を成立させる意思がない場合が多く、縁組の意思はないと考えるのが自然ではないでしょうか。しかし最高裁判所は、「節税の動機と縁組の意思は併存し得る」と指摘し、本件の祖父に「縁組の意思がないとはいえない」として孫との縁組は有効としました。
相続税対策として孫を養子にすることは昔から広く行われてきました。それを今になって節税目的があれば養子縁組は無効とするのはあまりにも影響が大きいと最高裁は考えたはずです。そこで「節税の動機と縁組の意思は併存し得る」とした上で縁組の意思を広く解したのではないでしょうか。
テーマ:相続、遺産整理について
相続人が相続財産を承継するという原則には重大な例外があります。それがお墓や仏壇、遺骨です。これらのものは相続財産ではありません。法律では、お墓や仏壇は「祖先の祭祀を主宰する者が承継する」としています(民法第897条)。また遺骨も相続財産ではなく、慣行上の喪主に所有権は帰属すると解されています。
「祖先の祭祀を主宰する者」とはわかりにくい表現ですが、「祭祀」とは「さいし」と読み、祖先を祭ることです。その者は、民法第897条によれば、第1に被相続人が指定した者、第2に指定がないときは慣習に従う、第3に慣習があきらかでないときは家庭裁判所が定めるとしています。お墓を継ぐ者を家庭裁判所が定めたという話は聞きませんから、現実には被相続人が指定した者がいなければ慣習で定めていると言えましょう。
では「慣習」とはなんでしょうか。民法の教科書には「長男を主宰者とする慣習が多いと思われる」と書いてありました。しかし被相続人に子どもがいるとは限りません。結局、「慣習」とは被相続人の親族が納得する者ということではないでしょうか。
いずれにせよお墓や仏壇、遺骨が相続財産に含まれないことは間違いありませんので、相続人に遺骨を埋葬する義務があるわけではありません。また逆に相続放棄をした者を承継者と定めることもできます。
テーマ:相続・遺言
相続による不動産や預貯金の名義変更のため、相続分の譲渡や放棄ということを行うことがあります。相続分というのは、遺産全体に対する相続人の割合的な持分のことで、相続分の譲渡や放棄をした相続人は相続分がゼロになり、その後の相続に関与する必要がなくなります。なお、正確には相続分の一部譲渡も可能であり、一部譲渡であれば譲渡人の相続分はゼロにはなりませんが、説明の都合上、全部譲渡を前提とします。
例えば、父A(被相続人)の相続人が子BCDだった場合、BCDの法定相続分は各3分の1です。この場合、BはCに対して相続分の譲渡を行うことができます。これが行われると、相続分はBがゼロ、Cが3分の2、Dが3分の1になります。これに対し、Bが相続分の放棄を行うと、相続分はBがゼロ、Cが2分の1、Dが2分の1になります。
このように相続分の譲渡や放棄を行うとその後の相続に関与する必要がなくなりますが、よく似た制度として相続放棄があります。先の例でBが相続放棄を行うと、相続分はBがゼロ、Cが2分の1、Dが2分の1になります。しかし相続分の譲渡・放棄と相続放棄では下記のような違いがあります。
相続放棄は、その旨を家庭裁判所に陳述しなければなりません(民法第938条)。具体的には、相続放棄陳述書という書類を記入し、添付書類とともに提出します。これに対して、相続分の譲渡・放棄は相続分譲渡証書又は放棄証書に署名押印するだけです。実印を押し、印鑑証明書を提出する必要はありますが、裁判所は関わりません。
相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内にしなければなりません(同第915条第1項)。相続分の譲渡・放棄にはこのような期限はありません。
最大の違いは、被相続人の借金から免れることができるかどうかです。例えばAに3000万円の借金があった場合、Aの死亡により、BCDが各1000万円の債務を相続します。その後、Bのみが相続放棄をすると、借金はBがゼロ、CDが1500万になります。これに対して、Bが相続分の譲渡・放棄をしてもBCDの借金は各1000万円ずつで変わりません。
なぜこのような違いが生じるかというと、相続放棄には「初めから相続人とならなかったものとみなす」(同939条)という効果があるからです。すなわち相続放棄をしたBは相続人でなくなるので、Aの借金を相続しません。それに対して、相続分の譲渡・放棄をしたBは引き続き相続人なので、Aの借金を相続するのです。
以上から、被相続人の借金から免れたいのであれば、相続分の譲渡・放棄ではなく、相続放棄をする必要があります。
テーマ:成年後見人の具体例
1のTさんが亡くなりました。成年後見人の任務は本人(被後見人)Tさんの死亡により終了しました。その後、A司法書士がやることは財産目録を作成して裁判所に報告した後に、Tさんの財産を相続人に引き渡すことです。Tさんには子どもがいないので、相続人は姉Bさん、弟Cさん、妹Dさんの3名でした。
3名の相続人は長い間、交流がありませんでした。そこで相続人はA司法書士に対し、相続財産を換金して相続人に3分の1ずつ分配して欲しいと依頼しました。もちろんこれは成年後見人の仕事ではありません。あくまで被後見人の相続人から依頼された新たな業務です。これを遺産整理業務と呼ぶことがあります。
Tさんの財産は預金と自宅の土地、建物です。A司法書士はまず銀行を回って預金を解約し、預り金口座にまとめました。不動産はいったんDさんが相続した後、建物を解体し、土地を売却することになりました。Tさんの財産は相続税が課税されるほどの額でしたので、並行して相続税の確定申告の準備もしなければなりません。A司法書士は連携している不動産会社に土地の売却の仲介を、税理士に相続税の確定申告を依頼しました。
土地の売却後、相続税を支払い、残りを3人に分配しました。翌年の不動産の譲渡所得税の申告も税理士に依頼しました。譲渡所得がDさんに発生した結果、Dさんの住民税、社会保険料が値上がったため、その額を相続財産からDさんに支払いました。すべてが終了したのはTさんが亡くなってから1年6ヶ月後のことでした。
テーマ:相続、遺産整理について
不動産や預金の相続が生じた場合、遺言がなければ原則として相続人全員が関係書類に実印を押印し、印鑑証明書を提出することが必要です。しかし印鑑証明書というのは日本固有の制度なので、海外に居住し、日本で住民登録をしていない相続人は原則として印鑑証明書を取得することができません。そこで実務上は以下のように扱われます。
海外に居住している相続人が日本国籍を有していれば、その国の日本大使館または領事館(大使館の支所)にサイン証明書を発行してもらって、印鑑証明書の代わりにすることができます。具体的には、遺産分割協議書に大使館でサインをし、サインをしたのが本人であることは間違いないと記載してある用紙を遺産分割協議書にホチキスで綴じ、割印をしてもらうことになります。たまにホチキスで綴じてない「証明書」を渡されることがありますが、これは大使館の職員が無知なため起こるミスです。ホチキスで綴じてないと使い物になりません。
以上に対し、海外に居住している相続人がその国に帰化し、日本国籍がない場合は次のようになります。私が経験したのは相続人がアメリカに帰化したケースですので、以下、アメリカについて説明します。この場合はもう日本人ではないので、日本大使館がサイン証明書を発行することはありません。そこで日本の公証人に当たるノータリー・パブリック(Notary Public)の面前で遺産分割協議書にサインをし、認証印を押してもらいます。ノータリー・パブリックは銀行に常駐しているようです。その上で、アメリカ移民局発行の帰化証明書のコピーにも認証印を押してもらいます。私はこの遺産分割協議書と帰化証明書のコピーで相続登記ができました。
テーマ:成年後見制度について
成年後見制度は、大きく分けると、法定後見制度と任意制度の二つがあります。法定後見制度とは、本人の判断能力の低下後に裁判所が代理人を選任する制度です。これに対して、任意後見制度は、本人の判断能力が低下する前に本人があらかじめ代理人を選任する制度です。つまり代理人を選ぶ時期(判断能力の低下後か低下前か)と選ぶ人(裁判所か本人か)が異なります。
任意後見制度は、あらかじめ契約で任意後見人の候補者を選任しておき、将来、判断能力が低下したときに任意後見監督人を選任して契約の効力を生じさせるという仕組みです。
最初に締結する契約を任意後見契約と言います。任意後見契約を結ぶときは、必ず公正証書でしなければならないことになっています。そこで任意後見契約ができるかどうかは最終的には公証人が個別的に意思能力の程度等を判断して決めることになります。
任意後見人が活動を開始するのは、本人の判断能力が低下した後です。具体的には家庭裁判所によって任意後見監督人が選任された時点で任意後見契約の効力が生じます。任意後見人の報酬もこの時から発生します。
任意後見契約で決められた後見人の候補者のことを任意後見受任者と言います。したがって任意後見人とは正確には、任意後見監督人が選任された後における任意後見受任者のことです。
テーマ:相続・遺言
「預金は遺産分割から除外される」という最高裁判所の判例が変更されるかもしれないと話題になっています。これはどういう意味なのでしょう?
例えば父の財産を子2名が相続する場合、(遺言がなければ)2名が何をどれだけ相続するかを話し合い、合意する必要があります。この話し合いを遺産分割協議といいます。話がまとまったら、話し合いの内容を文書にして、実印を押すのが普通です。この文書を遺産分割協議書と言います。不動産の名義(登記)を変更するにも預金を解約するにもこの遺産分割協議書と印鑑証明書が必要になります。
では遺産分割の話し合いに預金は含まれなのでしょうか。そんなことはありません。遺産分割協議には不動産や株式、預金などのすべての財産が対象になります。預金を最初から除外する遺産分割協議など考えられません。結局、判例の「預金は遺産分割から除外される」とは、話し合いがまとまらず、遺産分割協議書を作成できなかった場合のことなのです。典型的には家庭裁判所で行われる遺産分割審判での話です。法律的には銀行に対する預金払戻請求権は可分債権なので、裁判所は預金は当然に法定相続分に応じて分割され、他の財産のみが裁判の対象になるとしているのです。最初の例では、預金は法定相続分の2分の1ずつで分割され、預金以外の財産のみが遺産分割の対象になるとされます。
日頃からよく「遺産は法定相続分で分けなければいけないのですか」という質問を受けます。それに対しては、「話し合いでいくらでも変更できます」と答えています。「法定相続分は話し合いをする際の目安にすぎません」とも。そう考えると「預金は当然に法定相続分に応じて分割され、他の財産のみが遺産分割の対象になる」という判例は現実にはほとんど当てはまりません。判例変更もそのような理由から検討されているのでしょう。
テーマ:成年後見
今月、民法等が改正され、成年後見人が本人の死亡後、火葬、納骨の契約をできるようになりました。
ということは、これまでできなかったということです。成年後見人は本人(成年被後見人)の死亡により後見人ではなくなりますので、本人の死亡後、後見人として契約をすることは原則として認められていません。ですから火葬や納骨を行うことは法律上、認められなかったのです。しかし現実には葬儀などを行う親族等がいないような場合は、後見人が中心となって進めることが周囲から期待されることが多いわけです。そこでそのような場合は事実上、後見人が行うこともありました。今回の法改正はそのような現実に法律を合わせたものと言えるでしょう。
今後、成年後見人は家庭裁判所の許可を得て、「死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」ができるようになります。火葬とは遺体を焼くこと、埋葬とは遺体を土に埋めることです。なので火葬後に遺骨を納骨することは厳密には含まれないのですが、納骨に関する契約は「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に準ずるものとされています。
注意しなければならないのは、葬儀は含まれていないということです。したがって成年後見人は後見事務の一環として被後見人の葬儀を行うことはできません。その理由として法務省のホームページでは「葬儀には宗派,規模等によって様々な形態があり,その施行方法や費用負担等をめぐって,事後に成年後見人と相続人の間でトラブルが生ずるおそれがあるためです」と説明しています。たしかに相続人の意思とは無関係に葬儀を行い、その費用を本人の財産から支出することは避けるべきだと思います。
まとめると、今回の改正で成年後見人が本人の死亡後、火葬、納骨の契約をすることができるようになりました。しかし成年後見人が葬儀の契約をすることはできません。
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