テーマ:成年後見制度について
後見開始申立にあたっては医師の診断書が必要書類とされています。家庭裁判所は診断書を基に後見を開始するかどうかを判断しますので、診断書はもっとも重要な書類です。
診断書の書式は各家庭裁判所の定型のものがありますので、それを主治医(かかりつけ医)に渡して、記入してもらうことになります。医師の専門(科)は問いません。実際、高齢者の主治医の多くは内科医なので、内科医に作成して頂くことが多いです。
診断書で問題なく後見開始が判断できれば鑑定は省略されます。現実に鑑定が行われるのは約1割ですので、9割の申立は診断書だけですんでいることになります。
法律では、「家庭裁判所は、成年被後見人となるべき者の精神の状況につき鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。ただし、明らかにその必要がないと認めるときは、この限りでない」とされています(家事事件手続法第119条)。この条文に基づき、診断書により「明らかにその必要がないと認めるときは」鑑定を省略しているわけです。
以上は主に認知症により本人の判断能力が低下した場合ですが、本人に知的障害がある場合は診断書も不要な場合があります。例えば名古屋家庭裁判所では、後見開始の申立の際,名古屋市愛護手帳(判定1度・2度)、愛知県療育手帳(判定A)の交付を受けておられる本人が手帳のコピーを提出すれば診断書の提出は不要です。これは障害者手帳により、鑑定が「明らかにその必要がない」と認めていることになります。
テーマ:相続、遺産整理について
1 遺言と生前贈与
相続が発生した後に、相続人全員で遺産の分割について話し合いをする、というのが相続の基本型です。これに対して、遺言と生前贈与は相続の応用型と言えます。どちらも相続人全員の話し合いを不要とするために行われます。
2 生前贈与の効用
例えば、父が自宅をどうしても長男に継がせたいのであれば、その旨の遺言書を作成すれば足ります。遺言であれば後から述べる贈与税の問題もありません。しかし当然のことながら、遺言で長男が自宅を継ぐのは父の死亡後です。生前に継ぐことを見ることはできません。そこで自分の生前に財産を継がせる手段として(生前)贈与がよく行われます。
3 問題は贈与税
贈与の問題は贈与税に尽きると言っても過言ではありません。贈与税は超累進課税であり、驚くほど高額なのです。例えば親から子へ2000万円の財産を贈与すると、贈与税は600万円近くになります。贈与税については、国税庁のホームページ を参考にして下さい。
4 相続時精算課税制度で贈与がやりやすくなった
相続時精算課税制度によれば、一定の要件を満たす親から子への贈与は2500万円まで贈与税がかかりません。さらに相続税が非課税であれば、相続税も課税されません。相続時精算課税制度についても、国税庁のホームページをご覧ください。
5 夫から妻へ自宅を贈与する場合の特例
夫婦間の居住用不動産の贈与については以前から配偶者控除の特例があります。これによれば夫婦間の居住用不動産の贈与については2110万円まで贈与税はかかりません。配偶者控除の特例の要件は、国税庁のホームページをご覧ください。
テーマ:相続、遺産整理について
例えば「すべての財産を長男に相続させる」という遺言も有効です。この遺言によりすべての財産の名義を長男に変更できます。
このように言うと、「遺留分に反するのではないか」と思われる方もいるかもしれません。しかし遺留分(いりゅうぶん)とはそういうものではありません。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人が確保できる相続財産の割合のことです。この趣旨は残された遺族の生活を保障することです。遺留分の割合は法律(民法)で次のように定められています。
① 相続人が直系尊属(父母)のみである場合-相続財産の3分の1
② 相続人が配偶者と子、配偶者と直系尊属(父母)、配偶者のみ、子のみである場合-相続財産の2分の1
例えば相続人が配偶者と子1人の場合、配偶者と子の法定相続分は、各2分の1です。そこで遺留分は法定相続分の各2分の1、すなわち相続財産の各4分の1になります。
しかしだからといって遺留分を害する遺言が当然に無効になるのではありません。遺留分のある相続人が欲するならば、取り戻しを請求することができるにすぎません。この請求を遺留分の減殺請求(げんさいせいきゅう)と言います。もし相続人が取り戻しをせずに、遺留分の侵害を知ってから1年を経過すれば、遺留分減殺請求権は消滅します。
以上から、遺留分を侵害する遺言も有効です。後日、減殺請求の可能性があるだけです。
テーマ:相続、遺産整理について
一般に行われる遺言は自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらかです。この内、自筆証書遺言は遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押せばいいので、自分一人ででもできます。しかし不備があった場合は取り返しがつかないので、公正証書遺言を作成することをお勧めします。
公正証書遺言は公証人役場所属の公証人が作成します。その際、相続人以外の証人2名が必要です。
テーマ:相続、遺産整理について
遺言は実際にどのような役割を果たすのでしょうか。不動産の相続登記を例に説明します。
不動産の所有者が死亡すると、その名義を亡くなった人(被相続人)から相続人の1人(例えば長男)に変更します。しかしそれは長男が1人ですることはできません。普通は「不動産は長男の所有とする」という内容の遺産分割協議書というものを作成します。そしてそこに相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付します。この遺産分割協議書がなければ相続登記はできません。したがって相続人が1人でも「不動産は長男の所有とする」ことに同意しなければ、長男に名義変更できないわけです。「相続でもめる」とは、このような状態をいいます。
これに対して、「不動産は長男の所有とする」という内容の遺言書があれば、遺産分割協議書は不要です。その遺言書を添付すれば相続登記はできます。したがって同意しない相続人がいても、長男が1人で相続登記をできるわけです。遺言の効用はここにあります。
テーマ:相続、遺産整理について
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄申述書を家庭裁判所に提出することが必要です。3ヶ月を経過すると相続放棄は原則としてできません。
ここで注意しなければならないのは、「相続の開始から3ヶ月以内」ではなく、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内」であることです。知らなければ放棄もできませんので、当然のことです。そのため相続後、しばらく経ってから借金の存在を知ったときには、借金を知ったときから3ヶ月以内であれば相続放棄ができます。
テーマ:相続、遺産整理について
相続人は亡くなった方(被相続人)の一切の権利義務を承継するので、被相続人に財産がなく、負債がある場合には、相続人は負債のみを相続することになります。このようなことを避けるための制度が相続放棄です。相続放棄をすれば、被相続人の借金を払わなくて済みます。
テーマ:相続、遺産整理について
遺産の分割方法は相続人の話し合い(遺産分割協議)で自由に決めることができます。法定相続分にはとらわれません。むしろ法定相続分どおりに遺産を分けることはあまりありません。例えば遺産が自宅のみの場合には、相続人の一人の名義にするのが一般です。
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