テーマ:相続、遺産整理について
法定相続分とは法律(民法)で定められた相続人の持分です。民法では次のように定められています。
① 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
② 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2とし、直系尊属の相続分は3分の1とする。
③ 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は4分の1とする。
④ 子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は相等しいものとする。
テーマ:成年後見制度について
「成年後見人をやめる」という表現は、後見制度自体を止めるという意味と成年後見人を辞めるという意味の2つの意味で使われますが、両者は全く異なります。
まず後見制度自体を止めることができるのは、後見の原因が消滅し、家庭裁判所が後見開始の審判を取り消した場合のみです。後見の原因が消滅するとは、判断能力がない方が判断能力を回復するというときですので、現実にはほとんどありません。したがっていったん開始された後見制度を止めることはできないと考えた方がよいでしょう。言い換えると成年後見は本人(被後見人)が死亡するまで続くということです。
次に後見制度自体は継続するものの、それまでの成年後見人が後見人を辞めることは可能です。これを成年後見人の辞任といいます。ただし成年後見人は自分の都合で自由に辞任することはできません。辞任することができるのは、病気や高齢、遠隔地への転居などによって後見人の職務が行えなくなり、辞任について家庭裁判所の許可を得た場合です。ただしその場合も新たな後見人の選任が必要です。新たな成年後見人が選任されなければ、家庭裁判所はそれまでの後見人の辞任を許可しません。つまり成年後見人の辞任とは、成年後見人の交替ということです。
テーマ:成年後見制度について
本人の不動産を売却するために選任された成年後見人であっても、本人の死亡等により後見が終了するまで後見人の役目は続きます。現行法では、本人の死亡前に後見が取り消されるのは本人が判断能力を回復したときだけです。
成年後見申立の動機としては、大きく①預貯金の管理という継続した必要性に基づくものと②不動産の処分や相続手続という単発的な必要性に基づくものに分けられます。しかし法律上、①②は区別されていません。よって本人所有の不動産の売却後も成年後見人の役目が続くのはやむを得ません。
このようなことを避けるために近年、注目されているのが家族間で行う民事信託(家族信託)です。これは不動産を所有している親が判断能力低下前に子に不動産を信託するようなケースです。これにより不動産の所有者は子になります。したがってその後、親の判断能力が低下しても成年後見制度を利用せずに不動産を処分できます。
テーマ:成年後見制度について
不動産の所有者に判断能力がなければ売買契約はできません。また、たとえ本人の配偶者や子であっても、本人の不動産を売却する権限(代理権)はありません。したがってこのような不動産を売却するには成年後見人の選任が必要です。実際にも成年後見申立の動機として、不動産の処分は上位にあがります。
ただし不動産を売却できないのは、所有者本人に判断能力がないとされる場合です。認知症を発症していても判断能力があると認められれば売却は可能です。そして不動産を売却する判断能力があるかどうかは一律の基準があるわけではなく、個々に売買登記を担当する司法書士が判断することになります。
テーマ:成年後見制度について
名古屋家庭裁判所の例で言うと、成年後見人を選ぶときはまず最初に家庭裁判所で受理面接を予約します。この期日が現在では1ヶ月から1ヶ月半くらい先になります。
受理面接当日に裁判所に行き、問題がなければ数日後に選任の審判書が後見人に届きます。
そこから後見人の登記事項証明書ができるのに3週間ほどかかります。
以上から、実際に成年後見人が活動できるのには2~3ヶ月の期間が必要です。
テーマ:成年後見制度について
現在の実務では、本人が多額の預金を有する場合は、親族が成年後見人になることを希望していても、まず専門職が後見人になって預金の大部分を信託銀行に信託するという取扱いになっています。これを後見制度支援信託と言います。
方式としては、①最初に専門職後見人を選び、信託後に親族後見人を選ぶというやり方(リレー方式)と②専門職後見人と親族後見人を同時に選ぶというやり方(権限分掌方式)があります。いずれも専門職後見人は信託後に辞任することになります。
いくらから後見制度支援信託が適用になるかは家庭裁判所によって異なりますが、名古屋家庭裁判所は1200万円以上としています。
一例として本人の普通預金が2300万円だとすると、まず専門職後見人が2000万円を信託します。すると預金に300万円が残ります。その後、親族後見人は300万円の普通預金を管理します。もし本人の支出(施設利用料など)が月25万円で、収入(年金)が月15万円だった場合は、信託銀行から月10万円を送金されるようにすることもできます。
後見制度支援信託導入前は親族が望めば後見人に就任できましたが、現在ではまず専門職後見人を選ばなければならない場合があるということに注意が必要です。
テーマ:成年後見制度について
後見人になるのに資格は必要ありません。平成26年の統計では、親族後見人が約35%、専門職などの第三者後見人が約65%となっています。専門職後見人の中での割合は司法書士、弁護士、社会福祉士の順です。
また本人が多額の預金を有する場合は、親族が成年後見人になることを希望していても、まず専門職が後見人になって預金の大部分を信託し、その後、親族に引き継ぐという扱いになっています。これを後見制度支援信託と言います。
テーマ:成年後見人の具体例
Tさんは母親Hさんが認知症になり、預金をおろすこともできなくなったため、Hさんにの成年後見人になろうとして、A司法書士に成年後見開始申立書の作成を依頼しました。TさんによるとHさん名義の預貯金は2000万円くらいとのことです。そうすると本件は成年後見支援信託のケースになります。
名古屋家庭裁判所の基準では、司法書士などの専門職以外の方(例えば親族)が後見人になる場合、本人の金融資産が1200万円を超えるときは、まず専門職が後見人になって預金の大半を信託銀行に預け、その後、後見人を親族に引き継ぐという扱いになっています。これを後見制度支援信託といいます。
A司法書士がこのような説明をTさんにしたところ、Tさんは後見制度支援信託の後見人もA司法書士に依頼したいとのことでした。そこでTさんを申立人、A司法書士を後見人候補者とする申立が行われ、まずはA司法書士がHさんの成年後見人になりました。その後、A司法書士はHさんの預金2000万円の内、1700万円を信託銀行に預け、後見人をTさんに交替しました。
テーマ:成年後見人の具体例
知的障害のあるSさんは、両親亡き後も兄弟の援助を受け、自宅で一人暮らしをしていました。しかしご自身も70歳を超え、兄弟も高齢になったため、兄弟で話し合って障害者のグループホームに入所することになりました。ただそうするとホームの入居費などでそれまで自宅にいたときよりは出費がかさむことになります。計算してみると毎月の出費がSさんの年金収入より3万円くらい多いことになります。Sさんには預金がほとんどないことから、このままではグループホームで暮らし続けることができません。
そこでSさんの成年後見人になったA司法書士はSさんがホームに入る前に住んでいた自宅を売却することを検討しました。まずSさんとSさんの兄弟の了解を得ました。そして不動産業者に仲介を依頼したところ、2000万円で購入したいという人が現れました。自宅の売却には家庭裁判所の許可が必要なので、裁判所の許可も得ました。こうして自宅が売却でき、Sさんは生活費の心配をしなくてよくなりました。
テーマ:相続、遺産整理について
離婚した元・妻は「配偶者」ではないので、相続人ではありません。しかしその者との間の子はもちろん相続人です。
例えば夫Aと先妻Bとの間に子Cがいて、Aと後妻Dとの間に子Eがいるとします。Aが死亡すれば相続人はC、D、Eとなります。このようなケースではDEがCと交流がある場合とない場合のどちらもあるのが現実です。EがAを相続しようとしても遺言がなければBの合意が必要であるため、交流がなければ探し出す必要があります。
当事務所が関与したケースでは後妻の子が先妻の子2名とまったく交流がなく、もちろん住所も電話番号も知りませんでした。そこで戸籍謄本を取り寄せて行くと、先妻の子の住所がわかりました。私が「遺産について話し合いたいから、連絡をください」という手紙を出すと、2名とも電話をくれました。そして後妻の子と私があらかじめ打ち合わせていた遺産の分割案を提案したところ、快く同意してくれました。それから遺産分割協議書に署名押印をいただき、相続財産を分配しました。先妻の子2名とも他県だったので会うこともせず、電話と手紙でやりとりしました。
本当はこのようなケースでは生前に遺言を作成することを勧めます。例えば冒頭のAが「全財産をEに相続させる」という遺言を作成すれば、EはAの死後、Bと連絡を取ることも不要になります。そうは言っても実際に遺言を作成する人は少ないので、見ず知らずの相続人を探し出すことは多いです。
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