テーマ:成年後見人の具体例
1のYさんには多額の預金がありました。Yさんには子供がいないため、相続人はTさんとYさんの6人の兄弟でした。A司法書士はTさんの成年後見人としてYさんの兄弟全員に連絡を取りました。話し合いの中で法定相続分(Tさんが4分の3、Yさんの兄弟は各24分の1)での分割であれば全員の同意が得られそうだったので、A司法書士は家庭裁判所の了解も得た上で法定相続分による遺産分割協議をまとめました。遺産分割協議では、原則として被後見人の法定相続分を確保することとされています。その後、A司法書士は各銀行に行ってYさんの預金を解約し、相続人に分配しました。
このケースは本人(被後見人)が相続人の場合です。被後見人が死亡した場合は成年後見人が遺産分割協議をすることはできません。ただし後見人が被後見人の相続人から依頼を受けて遺産整理業務を行うことは可能です。
テーマ:成年後見制度について
①財産管理と②身上監護に関する契約です。
①財産管理は、預金の引出や不動産の売却などです。
②身上監護に関する契約とは、施設の入居契約や介護保険上の契約のことです。後見人がするのはあくまでも介護に関する契約であり、介護そのものではありません。
テーマ:成年後見制度について
成年後見人の費用には、①成年後見人を選ぶのに必要な費用(申立費用)と②成年後見人の報酬があります。
①申立費用は実費と専門家の報酬からなりますが、実費は鑑定費用を除けば1万円程度です。鑑定費用は5万円くらいですが、実際に鑑定が行われるのは約1割です。
また申立書の作成などを専門家に依頼すれば報酬が必要です。当事務所では、後見開始申立書の作成・提出を10万円~で行っています。この依頼をしていただければ、当事務所で裁判所に提出する書類をすべて作成、収集しますので、申立人は受理面接に出席するだけでよいことになります。また当事務所の司法書士が成年後見人の候補者になる場合は、受理面接にも同行します。これが最初に必要な費用です。
②成年後見人の報酬は裁判所が決めます。後見人は毎年、裁判所に後見事務報告書を提出しますが、その際、報酬付与申立書もいっしょに提出して裁判所が1年分の報酬を決めるのが通常です。成年後見人の報酬は毎月の定期報酬と臨時報酬に分けられます。定期報酬は月2~3万円です。臨時報酬は不動産の売却や遺産分割といった不定期の業務に対する報酬です。いずれにせよ後見人には報酬の決定権限がないので、「報酬はおいくらですか」と問い合わせをいただいても、確定的な返答はできません。
テーマ:相続、遺産整理について
子が相続前に死亡しているときは、子の子(つまり孫)が相続人になります。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。したがって直系尊属(父母)や兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に孫もいないときです。
テーマ:相続・遺言
今年の4月から、空き家にかかる譲渡所得税の特別控除の特例が施行されました。これは相続人が相続した古い空き家を平成28年4月1日から平成31年12月31日の間に譲渡し、一定の要件を満たした場合には、譲渡所得から3000万円を特別に控除するというものです。
主な適用要件は次のとおりです。
①空き家の建築時期
昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等を除く)であること
②居住要件
相続開始直前において、被相続人のみが居住していたこと
③譲渡時期
相続時から相続開始日以降3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
④対象となる譲渡
被相続人の居住用家屋またはその敷地の譲渡であること
⑤譲渡金額制限
譲渡額が1億円以下であること
テーマ:成年後見人の具体例
Kさんには幼い頃の病気が原因で重度の知的障害がありました。Kさんは自宅で父母と弟の4人で暮らしていました。Kさんのお世話はずっと父母、父が亡くなってからは主に母親が行ってきました。
Kさんが60歳の時、母が亡くなりました。その後もKさんは弟さんと二人で暮らしていましたが、弟さんはなかなかKさんのお世話をすることができません。そこでKさんは障害者のグループホームに入所することになり、それを契機に預貯金の管理を成年後見人に任せることになりました。そしてKさんを担当していた障害者地域生活支援センターの職員の方の紹介で、A司法書士がKさんの成年後見人になりました。
テーマ:成年後見制度について
①裁判所に提出する書類を収集し、作成することと②成年後見人になることです。この2つは別のことなので、①のみを依頼して頂くことも、①②の両方を依頼して頂くこともあります。本人の身近に後見人になる親族がいないような場合は、①②の両方を依頼されることが多いです。
ただ「親族が後見人になるから、書類の作成だけお願いしたい」という場合は注意が必要です。現在の実務では、本人の預貯金が多額なときは専門職が金融資産を信託銀行に預け、その後に親族が後見人を引き継ぐという方式をとっています。これを後見制度支援信託と言います。例えば名古屋家庭裁判所では、本人の預貯金などの金融資産が1200万円を越えると、後見制度支援信託を利用することになっており、この場合はまず司法書士や弁護士が後見人になります。親族だけが後見人になるというわけにはいかないのです。当事務所の司法書士はこのような後見制度支援信託をする後見人も引き受けています。
テーマ:成年後見人の具体例
Tさん(夫)とYさん(妻)は子供がいませんでした。Tさんが数年前から認知症になり、最初は自宅でYさんが介護をしていました。しかしだんだん在宅で介護をするのがむずかしくなったため、Tさんは老人ホームに入居することになりました。Tさんの預金の出し入れやホームとの契約はすべてYさんが行いました。
ところがしばらくしてからYさんにガンが見つかり入院することになりました。そのためTさんの預金の管理などをする人がいなくなりました。そこでTさんのケアマネージャーは成年後見人を付けようとして、A司法書士に相談しました。A司法書士は自分が成年後見人になることは了解しましたが、問題は誰が後見開始の申立人になるかでした。申立人は原則としてTさんの親族しかなれないのです。この時点で妻のYさんは病気のため会話をすることも困難になっていました。Tさんには姉、弟、妹がいましたが、いずれも他県に住んでいて日常的な交流はありません。そこでA司法書士はTさんの弟のMさんに連絡し、申立人になってもらうことなりました。家庭裁判所に提出する成年後見開始申立書もA司法書士が作成しました。
こうしてA司法書士がTさんの成年後見人になりました。その1ヶ月後にYさんは亡くなりました。
テーマ:相続、遺産整理について
だれが亡くなった人(「被相続人」といいます)の相続人になるかは法律(民法)で次のように定められています。
① 被相続人の配偶者は常に相続人となる。
② 被相続人の子は相続人となる。
③ 子がいない場合には、被相続人の直系尊属(父母)が相続人となる。
④ 子と直系尊属(父母)のどちらもいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる。
以上から相続人の組み合わせは、配偶者と子、配偶者と直系尊属(父母)、配偶者と兄弟姉妹、配偶者のみ、子のみ、直系尊属(父母)のみ、兄弟姉妹のみ、の7通りです。
テーマ:成年後見制度について
法定後見=判断能力の低下後に裁判所が成年後見人などを選任する制度には、後見、保佐、補助の3類型があります。
① 後見=判断能力を常に欠く=自己の財産を管理、処分することができない
② 保佐=判断能力が著しく不十分=自己の財産を管理、処分するには、常に援助が必要
③ 補助=判断能力が不十分=自己の財産を管理、処分するには、援助が必要な場合がある
家庭裁判所は医師の診断書等を参考に本人が後見、保佐、補助のいずれに該当するかを判断し、成年後見人、保佐人、補助人を選任します。実際の後見、保佐、補助の割合はそれぞれ80%、16%、4%です(2016年)。後見が多数で、補助はほとんどありません。
このように法定後見には3つの類型があるのですが、実務上は①後見と②保佐、補助の違いが重要です。これは①後見と②保佐、補助では代理権の有無に差があるからです。後見人には法律上、当然に代理権が認められますが、保佐人、補助人に代理権を与えるためには本人の同意が必要です。このため保佐人、補助人に財産管理の代理権を与えようとしても、本人が同意しなければできません。保佐人と補助人の差はそれほど大きくありませんが、成年後見人と保佐人の違いは大きなものがあります。
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