トップページ >  ブログ > 相続・遺言 > 失踪宣告を利用した相続が終わりました。

相続・遺言

失踪宣告を利用した相続が終わりました。 2018年04月17日

テーマ:相続・遺言

昨年、このブログで相続人が行方不明の場合の相続について解説しました。

相続人の行方不明⑴
相続人の行方不明⑵
相続人の行方不明⑶

この中の失踪宣告を利用した相続登記が終了しましたので、ご紹介したいと思います。

Aさんのお父さんが亡くなられ、相続人はお母さんとAさん、Aさんの弟Bさんの3名でした。このBさんが30年前に失踪し、音信不通でした。ところが8年前に大阪市の区役所から、Bさんが大阪に住民票を移したという連絡があったので、さっそくAさんたちは大阪の住所地を訪ねました。しかしすでにBさんは引っ越していました。

本来であれば、Aさんのお父さんの不動産の名義をAさんに変更(相続登記)するにはBさんの実印の押印と印鑑証明書が必要です。しかしこのケースではどう考えてもそれは無理でした。他方、Bさんが住民票を移転してから8年が経過しているので、普通失踪宣告が適用できそうです。もし失踪宣告が認めれればBさんは死亡したものと見なされるので、お父さんの相続人はお母さんとAさんの2名になります(Bさんには子供はいません)。

そのような説明をしたところ、当職はAさんから失踪宣告申立書の作成、提出を依頼されました。そこで昨年(平成29年)の6月に家庭裁判所に申立書を提出しました。Bさんの本籍地は名古屋市ですが、最後の住所地は大阪市なので、管轄(提出先)は大阪家庭裁判所です。

すると8月に家庭裁判所から、「裁判所自身の調査が完了した」という連絡があり、Aさんとお母さんの陳述書、お父さんの相続関係説明図、Bさんの財産目録の追加を求められましたので、同月、提出しました。

その後、11月になって官報公告の費用の請求書が届きました。これは失踪宣告をするには官報(政府発行の日刊紙)に「失踪に関する届出の催告」という記事を掲載し、3ヶ月が経過することが必要とされているからです。これを官報公告といい、今回は4298円でした。官報公告は11月に行われたはずです。

翌年(平成30年)の1月末に裁判所から、Bさんの戸籍謄本と戸籍附票を再度、取り寄せた上で、Aさんの照会書といっしょに送付するよう連絡がありました。そして2月5日付でBさんの失踪宣告の審判が出されました。

失踪宣告の審判は2週間の経過で確定するので、確定後、審判書を本籍地のある名古屋市の区役所に提出しました。そして3月にBさんの失踪宣告が記載された戸籍謄本を得ることができました。その戸籍謄本を添付して相続登記を申請し、この4月に不動産の名義をAさんにする相続登記が完了しました。

依頼から登記完了まで10ヶ月でした。当職やAさんが大阪まで行くことはなく、手続はすべて電話と郵送で行われました。

ページの先頭へ戻る